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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち・4
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 株を買う者は財産をなくすが、株を(空)売りする者は命をなくすということわざがある。その空売りで財産をすべてなくした人が多数発生したもっとも悲惨なイベントが、7018内海造船をめぐるここ一週間の仕手戦だったのである。激増した個人投資家が軽い気持ちで信用取引をはじめることがどれほど危険であるかを今回の仕手戦は教えてくれる。

 8月26日(金)、内海造船の株価は248円で引けた。その直前の三日間の出来高を合計してもせいぜい10万株だったこの銘柄が、翌週に日本中の個人投資家の注目を集めると誰が予想しただろうか。29日260円、30日302円、31日322円と急激に上昇し始めたこの株は、ある投資顧問WEBサイトが9月1日に推奨銘柄としたことで一気に爆発した。その日はストップ高で402円(+80)まで上昇した。しかし、その日に多くの個人投資家がこの内海造船を空売りしてしまったのである。「ここまでこんなに急激に上げてきたから、そろそろ下げるだろう」と判断したのだ。

 翌9月2日、467円(+65円)で寄りついたかと思うとすぐに二日連続のストップ高で482円となった。この日も当然のように大量の空売りが入った。東証は急激な値上がりを抑制するために「新規空売り禁止」の規制を入れた。発行高が2200万株で浮動株が25%の550万株しかないのに、その浮動株数を超える大量の空売りがされたために極端な株不足の状態になってしまったからだ。

 さて、最初にストップ高になってしまった日に402円で1万株の空売りをしてしまった人は、翌日のストップ高で株価が482円になった時点で80万円の含み損を抱えることになる。このままさらに株価が上昇すれば、保証金を超える金額の含み損を抱えることになり、損失を確定して返済買いという形で決済するか、信用保証金を追加しないといけないことになる。この先いったいどうなるのか、空売りした人は週末を眠れないほどにハラハラして過ごしたに違いない。

 週明けの9月5日月曜日、大量の買い注文に対して売り注文はほとんどなく、結局いきなり562円(+80)のストップ高に張り付いたままわずか34万7000株しか取引は成立しなかった。売り方は逃げることさえも不可能な状態に置かれたのである。402円で1万株空売りしてしまった人の含み損はこの時点で160万円である。信用保証金は建て玉の3割だから120万6000円である。すでに含み損は保証金を超える金額になっていて、このままさらにストップ高が続けば全財産をなくすかも知れないのだ。空売りした人はとにかく、なりふり構わず返済買いの注文を出すしかなかったのだ。空売りされすぎたためにこうして一気に株価が上昇する状態を俗に「踏み上げ相場」と呼ぶ。ここではまさにこの踏み上げ相場が発生していたのだ。

 もう一つ、空売りするときに恐れないといけないもの、それは逆日歩である。これは株不足の状態になったときに空売りに必要な株を証券会社は大株主から株を借りて調達するのだが、その金利は一株あたり通常0.05円/日程度である。これは空売りをした人が払わされるのである。極端な株不足になった内海造船の逆日歩は9月5日には20円、9月6日はなんと60円もついたのだ。(火曜日の逆日歩は受け渡しが週末になるために三日分つく)ところが株価は6日こそ瞬間的に662円(+100)のストップ高になったが引けは617円、翌7日はもみ合った末に630円で引けた。


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09月10日(土)
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