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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち・2
松村組WEBサイトより〜民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ
 当社は,平成17年5月5日開催の取締役会において,民事再生手続開始の申立てを行うことを決議し,同日,大阪地方裁判所に申立てを行い受理されましたので,下記のとおりお知らせします。 関係する皆様におかれましては,多大なご迷惑をおかけする事態となりましたことを衷心よりお詫びし,今後,役職員一同,再生に向けて全力を尽くして参る所存ですので,何卒,ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 松村組は関西を地盤とする中堅ゼネコンである。公共事業の削減によって大きなダメージを受けたことと、バブル期前後に手掛けた大型の土地案件などを中心に多額の不良資産を抱えたこと、受注減少に歯止めが掛からない中の競争激化で採算が悪化したことなどが理由で2000年3月期以降続けて赤字決算が続いていたが、ついに民事再生手続きをとることとなったのである。ただ、この松村組は大証一部に上場している。民事再生手続きが発表される直前、5月2日の終値は112円となっていた。ところがわずか2ヶ月前の3月7日には瞬間的に株価は200円を記録していたのである。倒産寸前のこの株を巡ってどのような駆け引きが起きていたのかを検証してみたい。

 長く80円前後の株価で低空飛行していた松村組は、2005年2月初めから動きを見せ始める。大証一部ということで出来高もそれほど多くなかったのが、数日おきに100万株単位の出来高に膨らんだ。そして少しずつ上昇し始めたのである。それでもまだ動きはかなりゆっくりだった。動き出してから一ヶ月後の2月28日にやっと株価は100円台になる。出来高も300万株に膨らんだ。このあたりから株価は激しく乱高下するようになる。3月7日には高値200円を瞬間的に記録、この頃には出来高は900万株近くに増えていた。この急激な上昇を支えていたのが、一部の投資顧問と呼ばれるはめ込み屋たちであった。

 実はこの時期、松村組の買いを推奨していた有料投資情報サイトがいくつか存在していたのである。理論株価を無視した急激な上昇を「仕手筋の介入」と吹聴して提灯買い(素人さんたちが値上がりにつられて闇雲に追従買いすること)を誘っていたのだ。300円まで上昇すると具体的な数値目標を掲げて買いを勧誘するサイトもあったし、緊急メール情報と称して買わせる動きもあったようだ。そうして騙された個人投資家が、かなり高い値段で買わされた(はめ込まれた)のである。投資顧問によって、凍死(買った株が値下がりして身動きできない状態)させられてしまったのである。


 瞬間的に200円を示現して高値を更新した翌日の終値は147円、そこからはしばらくもみ合った後に徐々に値下がりして、終値も140円台から130円台、120円台とゆるやかに下降していった。「まだ終わっていない」という期待も空しく、仕掛けた側はすでに高値の時に売り抜けていたのである。値上がりが始まる前の2月中に時々出来高が膨らんでいたのは、仕手筋がいわゆる玉集め(将来の値上がりを見越して安いうちに株を集めること)を行っていたわけである。

 4月末には一日の出来高は10万株を割った。しかし、「きっとまた値上がりする」と期待して保有し続けた個人投資家が大勢いたことは、信用買いの残高が500万株を超えていたことから十分予想できる。民事再生法の申請というニュースが流れたため、連休谷間である翌日の5月6日はストップ安で買い手がつかなった。整理ポストに入れられてこのままストップ安が続けば早晩株価は1円となるだろう。一割や二割の損失ではないのである。百分の一以下になってしまったのだ。

 3月初めの頃のヤフー掲示板を見ると、この株を強気で買い煽っている人たちの書き込みが目に付く。絶対に上がるからとまるで狂信的な勧誘である。もちろんそういう書き込みから余計に胡散臭さを感じるオレのような投資家だけではなくて、信じてしまうお人好しの初心者も多かっただろう。


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05月09日(月)
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