ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
[18828518hit]

■下請けいじめは大企業の本質である
 コストダウンの苦労はすべて下請けに回し、利益はしっかりと自分たちが享受する、それがトヨタ的経営術なのである。CANONのあの便所野郎もそうだが、こうした大企業のトップはいったい自分を何様だと思ってるのだろうか。ワーキングプアの問題も所得格差も、その元凶はすべてこうした大企業の体質にあるのだとオレは思っている。なぜ利益をみんなで分け合おうとしないのか。頂点の企業だけが潤うのではなくて、その利益を上流から下流まで均等に分け合えばみんなが繁栄できるはずだ。なぜそのような社会構造にならないのか。

 このような下請けいじめはトヨタだけではなく、日本の大企業の典型的なやり方である。下請けに大きな仕事を発注しておいて、そのための設備投資をやらせてから突然仕事を切ってしまうと下請けは倒産する。すると最新設備をそっくり借金のカタにいただくなんて極悪非道なやり方は大企業家電にとって日常茶飯事だったりする。こんなひどい例も報道されている。アサヒコムから引用しよう。

井関農機、下請けへの支払い不当減額 子会社に指示2008年05月16日21時16分
 農機具メーカー大手の井関農機(本社・松山市)の子会社3社が、本社の指示で、農機具部品製造の下請け業者55社に支払う代金計約10億9200万円を不当に減額したとして、公正取引委員会は16日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づき、3社に減額分の返還と再発防止を求める勧告をした。本社にも今後、違反をしないよう指導した。  公取委によると、04年4月に改正下請法が施行され、違反勧告した事例を原則として公表できるようになって以降の最高額。井関農機のIR・広報室は「原材料価格の高騰に対応するため、コストダウンを取引先にお願いした。06年7月〜07年4月に減額分を補填(ほてん)して計約9億円を支払っており、違反の認識はなかった」としている。  公取委によると、違反行為をしたのは、本社が100%出資する連結子会社の井関松山製造所(松山市)、井関熊本製造所(熊本県益城町)、井関新潟製造所(新潟県三条市)。いずれも本社の指示で、コストダウン目標が達成できなかった月に、下請け業者から代金の請求を受ける際、「協力金」名目でもともとの契約額より低い額を請求するよう提案し、応じさせていた。松山製造所は06年5月〜07年4月に下請け52社に対し、計約10億2200万円▽熊本製造所は06年7月〜07年4月に14社に対し、計約6900万円▽新潟製造所は06年10月〜07年3月に1社に対し、約50万円を減額した。
 公取委の調べに対し、下請け業者の多くは「取引停止になるよりは、減額の提案を受け入れる方がいいと思った」と話しているという。

 この「取引停止になるよりは、減額の提案を受け入れる方がいいと思った」という対応にこの問題の本質が現れている。大企業と下請けとの関係は対等の関係たり得ないのである。常に大企業の側が強者であり、そのために弱者は言いなりになって搾取されつつ生き延びるかか、それとも死ぬかの二者択一を迫られるのだ。生き延びる道を選べば仕事はもらえるが、従業員にそのしわ寄せが行く。この原油高、原材料高の中でコストが高騰することは避けられないわけだが、その値上がり部分を吸収させられるのは誰か。下請け企業がそのコスト増をかぶる形で大企業の利益が守られるというのが日本の産業構造なのである。

 小麦が値上がりし、ガソリンや軽油が上がる。資源価格が上昇すればそれはある程度仕方のないことだ。しかし、宅配便の料金は据え置かれている。その分運送会社の経営は圧迫されているはずである。ガソリンが上がったことに不満を漏らす前に、そのコスト増をみんなが平等に負担して痛みを分かち合うことが必要なのではないか。いろんなものの値上がりに国民が苦しんでるのに国会議員の給料はちっとも減らない。大企業と下請けの関係は、そのまま国会議員と国民の関係である。後期高齢者医療制度もその一つだが、いったい誰を守るための負担増なのか。国民負担を増やしたい理由は、医療業界やそれにまつわる利権を守りたいためなのではないのか。 

↑エンピツ投票ボタン。押せば続きが読めます。登録不要です。←1位を目指しています! m(_ _)m 

05月17日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る