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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■日本一の先生を呼ぶ方法
もちろん中学受験の激化で、優秀な生徒が中学進学の段階でごっそりと私学に取られてしまうという側面はあるだろう。しかし、果たしてそれだけが理由だろうか。生野高校の最寄り駅のそばでは現役生向けの学習塾が大繁盛している。なんでこんなものがはやるのだ。大学受験のためには必ず塾や予備校に行かないといけないのか?そんなはずはないだろう。ちゃんと予習しないと理解できないようなハイレベルの授業をふだんから行い、生徒ががんばってそれについてくるならば塾や予備校など全く不要である。少なくともオレにはそんなものは必要なかったし、しっかりと予習して授業を受ける一方で自分で買った参考書や問題集で勉強した。英語の授業の進度がとてつもなく速く、毎日予習に2時間も3時間もかかった。そんなハードな授業にみんながんばってついてきていたのだ。高校3年になった夏、当時人気があった「試験に出る英単語」という参考書をオレも買い求めてみて驚いた。そこに出てくるような単語はみんな知ってる単語ばかりで、そんな本はもはや不要だった。授業を理解するために必死だった2年間は、自分の単語力を飛躍的に向上させ、しかもそれは膨大な量の英文解釈の問題を解いたために身に付いた「生きた解釈力」だった。当時オレが英語を教わっていたのは京都大学の仏文出身のN先生だった。N先生はオレにとって最高の英語教師である。このような師に出会えたことをオレは生涯忘れない。
橋下知事は高校の学区制を無くしたいと語っておられた。大阪府のどこからでも好きな高校を受験できるなら、学区の数だけ存在した偏差値ピラミッドは一つの大きなピラミッドに集約されるだろう。確かにその頂点に位置する高校には優秀な生徒が集まるだろう。しかし、4番手5番手の学校になるともうできる生徒の層が薄くなってしまい、大多数の高校の入学者は希望する上位校に入れなかった不本意入学者に占められることになる。それで果たして「日本一の教育制度」が可能なのか。入学試験の偏差値が低いとされる高校でどれだけ多くの中途退学者がいて、学級崩壊が起きているかご存じなのか。このような状況はオレが高校生だった30年前よりも確実にひどくなっているのである。それはすべて府教委の間違った方針が産み出した歪みのせいである。
優秀な教師を集めたいのならそれなりの待遇を保証することだ。大学卒業時に条件のいい民間企業に流れてしまう人材を横取りしたいのならそれよりもよい条件を提示しないとダメだ。「教員志望者はこの仕事が好きで志望するのだから、給与は関係ない」なんて考えると、ただ金八先生にあこがれてるだけの勘違い馬鹿しか集まらない。「できる」人間ほど自分の価値を高く評価してくれるところを就職先に選ぶ。フィンランドの教育水準が高い理由は、大学院卒しか教師になれないことと、その上民間企業よりもいい待遇なので日本なら医師や弁護士になるようなトップレベルの人材が教師になるからである。「熱い気概」だけではどうにもならないのである。大学受験という世界で成果を出すにはそれなりに高い能力が必要なのだ。オレは昔、「受験の国語」という学燈社の受験雑誌に付録で付いていた通信添削模擬試験に応募して、千人近い参加者の中で何度か1位を取ったことがある。教師としての能力の自己研鑽を兼ねてオレはそんな遊びをしていたのだが、そんな入試問題ヲタクのオレが活躍する場を大阪府は用意してくれなかった。それこそがオレが大阪府を見限った最大の理由である。
橋下さんよ、条件さえよければオレは府立高校に戻ってもいいんだぜ。このオレを正当に評価してくれて、それなりの待遇を保証してくれるなら喜んで行こうじゃないか。とりえあえず年俸は3000万ということでどうだ。えっ?知事よりも高いって、じゃあ橋下さんと同じでいいよ。それ以下は絶対に譲れないね。
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04月06日(日)
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