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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち13(木村化工)
5月27日付読売新聞に「中国は2030年までに原発による国内発電容量を15〜20倍に増強する目標を立てている」という記事が出ていたことが材料だった。中国で大量の原発が建設されるということは日本の原発関連企業に特需が発生するわけである。それを受けて木村化工は5月28日に554(+80)と上昇し、翌5月29日も654(+100)と二日連続ストップ高したのである。大量の空売りが入ったため再度の規制が入って新規の空売り禁止となった。前回の空売り禁止からわずか2ヶ月あまりという短期間に二度目の規制が入ったのである。それから一ヶ月、木村化工株は時折激しく上下しながらも600円台後半から700円台前半の株価を推移していた。空売りした人たちは下がってこないことに焦らされ、あきらめて返済する者も多かった。このときにその後の狂ったような上昇を誰が想像できただろうか。「どうせ無配企業だし、待っていればいつかは下がってくるよ」と楽観的に見ていた人たちが多かったのである。空売りこそしていなかったが、オレもその一人だった。だから買おうとは思わなかったのだ。
その時に楽観していて空売りを返済しなかった投資家の中には、今頃全財産を無くしてしまった哀れな方もきっといるはずだ。まさか400円台で空売りした株が1950円まで上昇するなんて誰が思うだろうか。よしんばそこまで耐えられたとしても、どれほどの資金が拘束され、そして値下がりしてくるまでにどれほど待てばよいのだろうか。
6月26日、この日から木村化工株の奇跡の12連騰がスタートした。その間ずっとこの株を持ち続けて最後の高値で売り抜けることができた人はもはや神の領域である。株価は終値ベースで、728、744、764、765、865、965、1010、1075、1122、1279、1479、1679と上昇した。12連騰の中で株価は倍以上になったのである。
そして7月12日、いきなり1919(前日比+240)で寄りついた後1950円まで上昇したのにストップ高の1979までたどり着くことなく崩れだして1800台でもみ合った後1845円で前場を終えた。前場終了の11時ちょうどから後場の開始の12:30までの1時間半に何があったのか。それまで強気一辺倒だった木村化工株のホルダーたちには「もしかしたらそろそろ下げるかも」と動揺する者が続出したのである。後場の寄り付きはなんと1385(−294)であった。前場終了の価格から比較して実に460円も下げたのである。実に24%の急落である。結局大量の売り物に押されてストップ安の1379円に張り付いて後場の取引が終わった。一日の値幅がなんと571円、高値から安値への下落率は29%という急落だったのだ。今日の高値の1950円で木村化工株を買ってしまった人もいるわけで、信用取引でこの木村化工を買っていた人の中には一日で全財産を失って破産した人もいたかも知れない。
仕手株全体の相場を牽引してきた木村化工株が暴落したことで、他の仕手株も次々に暴落した。その日の高値から安値への下落率の大きなものとしてエネサーブ(913→720 21%)、日本ギア工業(1310→949 27%)、ミサワホーム北日本(334→206 38%)などが目立っている。値動きの軽い仕手株に群がっていた個人投資家の多くが逃げ遅れたり、あるいは暴落の中で投げ売りを余儀なくされたのである。
木村化工のように連日の暴騰を続けていた株が突如暴落するということは仕手株の世界ではよくあることである。上昇時に途中で飛び乗ることには、その相場がいつ終わるかわからず、自分が買った瞬間が実は天井だったという怖さがある。それだけにザラ場に張り付いて取引できる専業のトレーダーでない素人衆は手出し無用だ。木村化工が7月12日の後場に急落したのはおそらく昼休みに暴落に気づいた個人投資家が一斉に売り注文を入れたからだと思われる。彼らは前場のまだ1800円台で取引されていた時に売り抜けて逃げ切ることができなかったのである。
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07月13日(金)
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