ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
[18827310hit]
■誰が高松塚を台無しにしたのか・・・
高松塚に行っても実際の壁画は見られない。しかし、そこに石室があり、壁画があるのを想像することで人々は歴史のロマンに触れることができたのである。その石室も壁画も来年春には失われる。高松塚は解体され、修復できるのかどうかはわからないがカビだらけの国宝は本格的な治療を受けて復活の日を待つことになる。
天智天皇の第七皇子であった志貴皇子は飛鳥宮から藤原宮に都が移された時の気持ちをこのような歌に詠んだ。
采女(うねめ)の袖ふきかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く
(采女の袖を吹き返す明日香風よ、都が遠いので今はむなしく吹くばかり。)
采女というのは諸国から献上されて天皇に近侍した女性のことである。かつての都であった飛鳥で、その采女たちの美しい袖が風で翻った光景を回想しているのだ。その同じ風に吹かれることで、明日香村を訪れる人は長い歴史を思い、かつてその地に生きた人々のことを考えるのである。雷丘から眺める風景はすっかり変わってしまっていても、そこに吹く風だけは変わりない。人類がこの地に登場するはるか昔からずっと変わらず吹いていた明日香風である。
↑エンピツ投票ボタン。押せば続きが読めます。登録不要です。←高松塚壁画の修復が成功することを祈ってクリックをぜひお願いします。
09月16日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る