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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち・6
6月10日付の日本経済新聞は、経済産業省がアジアで、石炭からガソリンや軽油を精製する『石炭液化』事業の普及に乗り出す」と報道した。この原油高の中でこの研究が脚光を浴びることとなったのである。この記事を手がかりにして、関連銘柄として石炭大手の住友石炭、三井松島に大量の買いが集まった。2006年3月の時点で石炭液化関係の売り上げなど全くなく、その実用化がどれほど先でどれくらいの採算性があるのか、全然不確かな中で思惑買いだけで一気に上昇したのだ。日経平均が下げ基調で注目される銘柄が他になかったこと、100円台で個人投資家によって買いやすい価格帯だったことなどもあって住友石炭はきっちり191円(前日比+50円)のストップ高で取引を終えた。出来高は8562万株、もちろんその日の出来高ナンバー1であった。なぜこんな作為的な株価上昇が発生したのか。オレはこの背景にはきっと何かあると睨んでいる。
この日の信用取り組みを見ると大量の空売りが入っていた。そのストップ高の中を果敢に空売りした勇気のある投資家もたくさんいたのである。その日、東証は住友石炭の信用取引規制(新規空売りの禁止)を発表した。空売りが出来ないということは、市場は買い手一色になって一気に暴騰する可能性がある。昨年秋に村上ファンドが介入した時の阪神電鉄株も同様の急上昇を見せたことは記憶に新しい。空売りした人は損失が青天井で膨らむことを回避するために損失を出してでも高値で買い戻さないといけないのだ。191円で1万株空売りした人は、もしも連続ストップ高になれば一日で50万円の損失を抱えることとなる。株価がストップ高に張り付けば買い戻すことさえも不可能になる恐れもある。その場合はさらに損失が膨らむ。住友石炭を空売りしてしまった投資家たちは、この恐怖から眠れぬ夜を迎えたのである。
6月13日、いきなりストップ高に張り付くだろうという大方の予想に反して、住友石炭は191円という昨日の終値と同じ値段で寄りついた。なぜ寄り付きから大量の売り物が存在したのか、個人投資家たちはそれを疑うべきだったのだ。いったい誰が売っているのかということに。空売りした人が逃げられなくなる踏み上げ相場を恐れた売り方は徐々に上昇し始めた住友石炭株をあわてて買って返済した。その結果株価は237円まで上昇、ストップ高まであと4円に迫った。しかし、そこに待っていたのは200万株を超える鉄壁の売り板であった。ずっと値上がりすると信じて買った個人投資家たちは絶望してその前で売った。涙を呑んで損切りしてしまった投資家たちは歯ぎしりした。それでも値上がりを信じてその鉄壁の板に買い向かおうとする向こう見ず(←相場の世界では単なる馬鹿)は次々と含み損を抱えさせられた。
住友石炭の株価は抵抗しながらも徐々に落下、220円、210円、200円といった節目節目で抵抗しながらも値下がりし、前日比マイナス14円の177円まで下げた後に空売りの返済買いと思われる大きな買いが入って少しだけ上昇して185円で引けた。6月12日に入った大量の空売り分はそっくり返済されてしまい、逆に6月13日の高いところで大量の信用買いが発生していたのである。一番高いところで買ってしまって含み損になった大量の犠牲者が発生したのだ。6月13日に売った人は十分安いところで仕込んで利益が出ている人であり、買った人は空売りの損切り返済と踏み上げ相場によるストップ高を期待して集まってきた人たちであった。
そんな相場の中、今日の高値の中で売り抜けた疑いのあるのは、ゴールドマンサックス証券だ。オレはそれをほぼ確信している。東証が売り禁にするのは表向きは株不足だということだが、実際は証券会社の便宜をはかっているとしかオレには思えない。個人に売らせないようにして証券会社に売らせるのだ。ゴールドマンサックス証券がもしもここで空売りを入れた場合、後で新株予約権によって手に入る株で返済すればいいのである。ここで200円以上で確実に売っておけば、新株を引き受けた時(最初に書いた理由から必ず株価は大きく下がっている)とのその差額がすべて利益となり、しかも市場で売却しなくてもいいから値下がりするリスクもない。
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06月14日(水)
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