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サッカー観戦日記
by T.K.
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■平田竹男『なでしこジャパンはなぜ世界一になれたのか?』要約
平田竹男『なでしこジャパンはなぜ世界一になれたのか?』要約
筆者は通産省の官僚時代からJリーグ立ち上げやワールドカップ招致にかかわり、02年から06年までJFAの専務理事を務め、女子サッカーの強化にも携わった。その後JFAを離れ、早大大学院スポーツ科学研究科で「トップスポーツマネジメント」というゼミで平均年齢30歳代後半の社会人学生を教えている。スポーツ選手やプロ野球球団やJクラブの経営者たち、テレビ局や広告代理店の幹部もいる。そんな人たちになでしこジャパンを説明する工夫が必要だ。スポーツマネジメント的な観点からの、なでしこジャパンの強さの秘訣があるのではないか。
第1章では地元開催のドイツで運営上有利な点を挙げ、準々決勝でそのドイツを破ったことで日本がドイツの計画とくじ運を引き寄せられたことが書いたある。
第2章以降ではなでしこリーグや代表の苦闘、芸能人フットサルなどの仕掛け、アテネ五輪予選勝利によって流れが変わってきたことを書いている。私の興味を強く引くのは第1章と第6章以降だ。
第6章 なでしこリーグの発展へ
JFAは今回の優勝に対し、一人当たり650万円の報奨金を出した。しかし一部の選手に対する一時的な資金もありがたいが、継続的な強化のために、女子サッカー選手の日常を支えるなでしこリーグの発展こそ重要。なでしこリーグはアマチュアでプロ契約はごくわずか。岡山湯郷の経営データを挙げる。(単位:千円)
●収入
美作市からの委託・補助金:13000
岡山県助成金:3900
JFA助成金:981
クラブ繰入金:23300
有料試合入場料:1075
雑入(寄付金など):1806
繰越金:7705
合計:51767
●支出
事業費:25415
管理費:4658
人件費:21391
合計:51464
クラブに所属する選手が22名なので、一人当たり100万円の年俸となるので、コーチをしたり、アルバイトをしながら生計を立てる選手が数多くいる。
一方、JFLの中でJリーグ入会を目指すクラブの理想的な収支モデルを挙げる。年間1.5億程度の事業規模を想定している。
●収入
広告料収入:6800万円
入場料収入:5000万円
放送権収入:200万円
グッズ収入:2300万円
その他収入:700万円
収入合計:1億5000万円
●支出
人件費:5200万円
物件費:5100万円
グッズ仕入れに関わる原価:1300万円
一般管理費:3400万円
支出合計:1億5000万円
スポンサー収入を比較すると約3倍、しかし入場料収入は約50倍もの開きがある。人件費は一人当たり175万円。
ではなでしこリーグが発展していく上で何が必要か。@複数企業が人件費を肩代わりする。A小さな看板スポンサーをたくさん集め、シーズンチケット収入を高める。B行政がスタジアム使用料を変えないよう工夫する。C寄付金を集める構造にする。イギリスのあるサッカークラブは出資金35ポンド(約5000円)ずつ約95万ポンド(1億3300万円)集めた。
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09月15日(木)
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