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サッカー観戦日記
by T.K.
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■雑文・素人監督の危険性
素人監督の危険性

日本サッカーの発展にはクラブではなく大学や実業団が大きく貢献してきた。その功罪は様々だがデメリットのひとつとして乏しい人材交流が挙げられよう。その際たるものが監督人事である。少し前まで大学サッカー部の監督は新興校を除きOBが占めていた。JSLも同様である。特にJSLの場合引退即コーチ・監督就任のケースが大半であった。外部から人材を招かない以上新監督・新コーチは常に経験不足の素人監督・素人コーチとならざるを得ない。構造上の宿命であり、是非を問う事自体ナンセンスであった。叩き上げの指導者が存在し得ないという状況は、ピッチ上でサッカーをよく理解しており他者に一目置かれる名選手が指導者となることに繋がる。換言すると指導者としての実績軽視であり、クラブスポーツ未発達の日本スポーツ界の性質そのものである。

世界の趨勢やプロ化の影響などにより、サッカー界にも指導者としての実績を考慮する傾向が芽生えた。現在JFAもある程度人材を選べる状況にある。ここ5年ほどの歴代代表監督を各カテゴリー別にみてみよう。

A代表が一定の経験・実績を持つトルシエ氏と代理を除き監督経験自体を持たないジーコ。五輪がトルシエ氏と監督経験はU−20代表1チームで大人のチームの監督経験を持たない山本氏。U−20は古河・ジェフ市原での監督経験があるがユース年代の経験はない清雲氏とこのカテゴリーでは本格的な経験はないトルシエ氏、それにG大阪ユースでの監督経験2年の西村氏、U−17からの持ち上がりでそれが唯一の監督経験である田嶋氏、東京ガス・FC東京で長期政権を務めたもののユース年代の監督経験のない大熊氏。U−17はいずれも本格的な監督経験にない河内氏、田嶋氏、須藤氏に続き市立船橋高で豊富な経験と数々の実績を持つ布氏。女子はプリマハムで一定の経験・実績を持つ宮内氏、松下での経験を持つ池田氏、Jやマカオの各年代代表監督経験があるが女子の指導経験のない上田氏。女子U−19はA代表兼任で池田氏。フットサル代表はフットサル普及の第一人者ながら競技フットサルの監督経験はないマリーニョ。選手経験・指導経験とも持たない木村氏、選手出身で本格的な監督経験はなく、代表コーチを務めてきた原田氏。

当該カテゴリーで3年以上の監督経験を持つ者はトルシエ氏、布氏、宮内氏、池田氏の4人。就任したばかりの布氏を除く3者は一定の成果を残している。経験は浅くとも原田氏も結果を残しているといってよい。山本氏、西村氏、田嶋氏、大熊氏、上田氏、マリーニョは微妙なところで人によって評価が分かれるところだろう。個人的には失敗したものとみなしている。壊滅的な結果に終わったのが清雲氏、河内氏、須藤氏、木村氏でいずれも該当カテゴリーの指導経験はなく、チームとしての体を為すことも出来なかった。監督経験が無視できないものであることはここ数年の成果からも明らかだ。まともな組織であれば人事担当者は自分の目だけを頼りに重要なプロジェクトの責任者を決めることはあるまい。実績があるのは大前提、その上でセンスが問われるのだ。JFAも器だけでなく中身も近代化してほしいものだ。

次に壊滅の具体的なケースをみてみよう。ユース年代にあまり厳しいことは書きたくないのでフットサル代表に触れてみる。

マリーニョ退任後の新監督候補に挙がったのが当時ファイルフォックス監督の眞境名オスカー氏と木村和司氏である。元選手で国内トップチームでしっかりしたフットサルのできるチームを作り上げた眞境名オスカー氏と本格的な監督・選手経験のない木村氏では比較にさえならない。しかしまともな分析もされないまま木村氏が選ばれたらしい。木村氏は1選手としてもデモンストレーション・ゲームを観るかぎり明らかに下手で、体でフットサルを理解しているとは言い難い。


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10月22日(水)
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