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サッカー観戦日記
by T.K.
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■FIFA U−20女子W杯 北朝鮮−ノルウェー アルゼンチン−カナダ
最初に言っておく。私は86メキシコ以来アルゼンチンびいきだ。南米サッカーはもともと好きだが、アルゼンチンはビラルドの守備的サッカーだろうが、ココ・バシーレの無謀なサッカーだろうが、ペッケルボーイズだろうが、ビエルサの戦術マニアのサッカーだろうが応援してきた。後藤健生さん風に言えば、監督によって「文法」は異なっても、国に根付いた「発音」は変わらないからだ。しかし同時にどんな国のサッカーでもいいものはいい、逆に強豪国のサッカーでも魂の入っていないものもある。要因は色々ある。内紛だとか。選手個人が戦っていないゲームはまず観る機会はない。高校サッカーの予選で数合わせの助っ人でもない限り、個人は戦っているものだ。しかしサッカーのような世界大会に出ることが困難なスポーツにおいては、そんなことは当たり前。監督がしっかりしていて、協会が強化に力を注いで、それでどれだけ戦えるかを観たい。だからそれが出来ていないチームを観るとガッカリする。ひいきの国ならなおさらだ。
さてアルゼンチンは前に踏み込んだ守備、常にインターセプトを狙う姿勢を見せていた。しかしカバーリングが2番任せで、他の選手は裏を全く警戒していない。監督がどういう指導しているのだと、イライラしていると、7分、カナダにあっさり裏を取られ、ペナ内で2番が倒し、退場&PK。カナダ6番が左足で決めて0−1。アルゼンチンは6番がスイーパー、5番をストッパーに回す。カナダ11番はレフティーでまずまずの技術を持つ。3番もレフティー。15番も攻撃力があり、8番は攻撃のタクトを振るう。アルゼンチンは10番が2大会前のU−20代表にも選ばれている逸材でキープ力があり、そこから決定的なパスを狙い突破力もあるリケルメにも似た選手。11番の攻撃力・スピードや5番の安定感もいい。9番もシュートに持ち込む形を持ったストライカー。つまり素材としての個人能力は高い。20分、カナダ、11番が右から折り返し16番ダイレクトで右上隅。直後にカナダ、裏に出し9番が抜け、飛び出したアルゼンチンGKを外し中へ、19番ミドルを決めて0−3。27分、カナダ19番に警告。アルゼンチン17番→4番。右ストッパーに入る。6番スイーパーは変わらず、5番と10番でボランチ、8番がシャドーで9番1トップ。43分、カナダ、9番にクサビを入れてダイレクトパスが繋がり、19番の前が空きフリーでシュート、決まって0−4。45分、DFからカナダ19番奪って決める。0−5。
ハーフタイムでカナダ4番→12番、19番→20番。少したってアルゼンチン5番→20番。15分、カナダ15番→2番。カナダは明らかにペースダウン。アルゼンチンが良くなったわけではない。21分、アルゼンチン11番→16番。観客3468人。この多さは第1試合の北朝鮮サポーターの動員によるものだろう。43分、カナダ、サイドチェンジから右スペースを突き、折り返しを20番ヘッド、決まって0−6。結局0−6で終了。
個々の能力の高さに見合わない代表チームというのは、かつてのブラジルと同じだ。アルゼンチンは頭の中身を変える必要がある。ペケルマン以前のユース代表がいい加減な監督人事の下、適当な強化しか行なわなかったのと同様、今のU−20女子は間違いなく無能な監督の下、適当な強化しか行なっていない。個人がチャレンジ&カバーの原則が出来ていないのは国内のクラブの責任だが、代表チームで組織的カバーリングが出来ていないのは、守勢が予想されるW杯において準備不足にもほどがある。1対1の間合いの取り方とか、攻撃面の仕掛けはいいのだから、チームとして組織を磨けば、あっという間に強くなる可能性がある。それだけに不満が残った。カナダはいいチーム。個人能力が高く、連携も取れていて、相手の弱点を徹底的についてくる。でかいだけではなく、足元でつないで、アルゼンチンに食いつかせておいて、逆サイドや裏などスペースを突くだけの技術・戦術眼もある。「小さなアメリカ」だ。強いですよ。
08月20日(月)
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