ID:40506
サッカー観戦日記
by T.K.
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■平田竹男『なでしこジャパンはなぜ世界一になれたのか?』要約
●バスケットボール:62598人
●バレーボール:61575人
●サッカー:8421人

クラブ数
●バレーボール:4159
●バスケットボール:4064
●サッカー:627

高校は選べても中学は選べない。よって中学校に女子サッカー部を新設することが必要になり、行政やPTAなどの地域社会の協力が不可欠だ。また工夫次第で男子の中に混じって女子が練習する環境を整えることも重要だ。

スポーツ全体の発展のためには指導者や審判、メディア関係者、さまざまなスポンサー、弁護士、ドクターなど多くの人がスポーツに関わる多様な頂点を持つ「逆台形型モデル」という考え方がある。トップ選手になれなくても、自分の得意な分野でスポーツ界を支えるということ。そのためには地上波テレビ放送により、そのスポーツに触れるきっかけが重要だ。

なでしこジャパンが世界一になった今こそ、女子ワールドカップの開催国に立候補すべきだ。代表の実力、観客動員、開催運営能力など、どの点をとっても日本ほど優れた開催国はない。開催により、日本全国の女子サッカーの環境を飛躍的に改善することも期待できる。


おわりに

女子サッカーが注目されなかった時代から成功を収めるようになった軌跡は他のスポーツにも参考になるのではないか。
競技人口が多いバスケットは、今後どうすれば好循環がはじまるのか?
2019年ラグビーワールドカップで開催国日本はどう仕組むのか?
など。


ここからは私の感想を。

世界の女子サッカーはパワーサッカーというのは半分当たっているが、違う面も大きいと思う。今回の女子W杯で日本は準々決勝以降、180cm台の大型アタッカーと当たってきた。しかしウドの大木的電柱FWはアメリカのワンバックくらいだった。準々決勝のドイツ・ガレフレーケスが右ウイングで突破力と左クロスに対する飛込みが売りだったし、欠場したCFプリンツが頭角を現した当初は衝撃だった。デカくて上手くて頭がいい。アリ・ダエイの女性版かと思った。FIFA世界最優秀選手に3年連続で選ばれた大選手。準決勝で当たったスウェーデンのシェリーンは長身ながら俊敏なテクニシャンでフィニッシャーではなく、チャンスメーカー。ワンバックにせよ、ミア・ハムという傑出したシャドーストライカーを活かすために起用され、その後伸びたCFだ。現代は北欧が圧倒的に強かった時代ではないのだ。今の180cmはテクニックも戦術眼もある。こういう選手を抑えるのに、日本は「小柄なCBが組織で守る」では対抗できなくなると思う。やはり1対1で勝たなくては苦しい。アンダーエイジの代表を観てもCBは相変わらず小さい。大型CBを下手でも我慢して使うことも重要だが、サッカーはトータルな能力が問われるスポーツ。日本はこれまで少数のエリートを大切に育てる戦略を採ってきたが、基本的には競技人口が多くなくては、好素材は拾えない。かといって中国みたいに他競技でトップの次くらいの、身体能力の高い選手を育てる戦略がもはや通用しないのは明らかだと思う。技術とセンスがなければ、どうにもならないのだ。

男女で競技人口も育成環境も同等のアメリカは男子がW杯でグループリーグ突破が五分五分、女子は常時世界大会優勝を狙えるレベルだ。今回のW杯で日本はドイツに延長で勝ち、アメリカにPK勝ちしたが、チーム力自体は劣勢だった。私は20年間高校女子選手権をほぼ毎年観ている。初期のただフィジカルに頼ったサッカーの時代から劇的に成長し、多くのチームは魅力ある、それでいて鍛え抜かれたサッカーをしている。現在、常盤木学園が圧倒的に強い。それは技術的にも肉体的にも優れた素材にいい指導が行なわれているからだ。しかし男子のユース年代にはこういうチームはゴロゴロある。今後世界のサッカーでは技術・戦術的指導が行き届いていても先天的なフィジカルやセンスがなければ勝てなくなるだろう。日本の男子サッカーがアメリカと同等だとすれば、日本の女子も日本の男子と同等とは言わないまでも、育成年代で、今の少なくとも5倍程度の競技人口がなければ厳しいのではないか?


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09月15日(木)
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