ID:40506
サッカー観戦日記
by T.K.
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■雑文:京都開幕戦の戦術・起用法批判
右サイドバック石櫃はタフにアップダウンできる典型的な「走るサイドバック」だ。運動量で相手を根負けさせ、仕事の質ではなく量で貢献するタイプ。クロスの精度は決して高くない。同サイドの小屋松はパスを出せるタイプなので中に絞って石櫃が上がるスペースを作ってパスを出せれば良かったのだが、前線と後方の間が開く布部戦術においてはボールを受けるためにサイドに開かざるを得ない。そのため石櫃も活かせない。

左サイドバック本多(173cm67kg)も阪南大では身体能力を活かしてセンターバック兼用だったが、基本的に守備的な選手で攻撃面はフォローはできても追い越して大きな仕事はできないタイプだ。そこで右からサイドチェンジを見せ湯澤が仕掛けていたが、すぐに対応されてしまった。このゲームでの策はこれだけだったのか?

そして岩崎は力強くスピードにあふれた突破があるのだが、そもそもボールが来ない。ベンチのFWロペス(191cm83kg)は布部戦術にあった長身FWでウルグアイ時代の前所属で13試合8ゴールという見事な成績を挙げており、ほかのクラブなら「見事な補強だ!」と思っただろうが、長年不明をさらしている京都の強化部だけに「訳アリ物件」をつかんでしまったのか、と思わせる。

そしてコーナーやセットプレー。キック精度に難がある石櫃が担当して守備に難がある望月がカウンターに備えて後方に残る形だが、普通逆だろう。あるいはキッカーが仙頭でもいい。とにかくキッカーは石櫃であるべきではないし、石櫃こそカウンターに備えるにふさわしい人材だ。

そして後半ロペスを投入し、さらに闘莉王をFWに上げた布部戦術特有の布陣交代をおこなったとき、センターバックに入ったのは下畠(178cm73kg)だ。本職はサイドバックであり、高さ・パワー的にギリギリこのポジションが出来る気もするが、おそらくこの体格データは過大だ。そんな高さはない。何より相手のFWがロペスとして下畠で高さで抵抗できるだろうか?ロングボール一発でゴールを狙う布部戦術が逆にロングボール一発で失点しやすい形であることを理解しているのだろうか?

さらに望月に代えて重廣を入れたが、ボランチは重廣が前で仙頭が後ろなのだ。ガツガツ潰せて捌けるが決定的な仕事はできない重廣が前で、決定的な仕事はできるがガツガツ潰せない仙頭が後ろ。こんな布陣があるだろうか?普通逆ではないのか?サイドハーフになった岩崎と小屋松は苦しい体勢から単独突破が光る。しかし単発に過ぎない。

結局、ほぼ全面的に現代サッカーの戦術上のセオリーに反し、しかも全く斬新な戦術を提示できなかった。私は昨年から布部監督を可及的速やかに解任すべし、という立場だが、強化部は何らかの成果が出るまで解任すれば、自らの責任問題になりかねない、と思っているのだろうか?私としては開幕5連敗でも喫したらさすがに決断すると思うが、それでも解任しないかもしれない。なるべく最小のダメージで後任監督に引き継ぎ、来季のJ1昇格はもはや手遅れでも来シーズンに向けたチーム作りをスタートしてほしいのだが……。下手に勝ち点を取り、布部監督の采配が続くとJ3降格が現実的になっている。J1でも資金力のあるクラブが実力が極端に不足している監督を起用して、小倉監督が名古屋を、セホーン監督がG大阪をJ2降格させたように、J2で資金力のある京都もJ3降格はないだろう、なんて油断できる甘いリーグではない。

しかし試合後京都サポーターは選手たちに温かい声援を送った。そういう信念なのだろうが、チーム状況を理解しているのだろうか?私より見ているのだから無論理解しているはずだが。

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02月25日(日)
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