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サッカー観戦日記
by T.K.
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■平田竹男『なでしこジャパンはなぜ世界一になれたのか?』要約
海外の女子サッカーリーグはどうなっているのか?アメリカに世界最初の女子プロサッカーリーグWUSAが誕生したのは2000年のこと。1996年アトランタオリンピックや99年女子ワールドカップアメリカ大会で優勝し、2000年シドニーオリンピックでも準優勝した。しかしWUSAはわずか3年で経営破たんする。野球のメジャーリーグ(MLB)と同水準の視聴率を想定したものの、思ったほど伸びず、スポンサーが次々と撤退して運転資金が枯渇した。現在の女子プロサッカーリーグがWPSだ。WUSAの失敗を受け、各クラブが主体的に地域に根ざす戦略をとり、2010年の観客数は70試合で30万人。選手の平均年俸は27000ドル。日本円にすると200万円程度だが、貨幣価値からすると300万円ぐらいで、代表選手だと2倍くらい。澤が所属していたときはチームの22人のうち、サッカーの報酬だけで生活できているのが18人で、後の4人は個人レッスンやコーチなど他の仕事を持っているということ。また男子と連携し、練習場やスタジアムを共有、これには過去2年間に5つのクラブがリーグから脱退、または消滅している。アメリカ代表は高齢化が進んでおり、厳しい状況だ。しかし日本の競技人口が4.6万人に対し、アメリカは167万人。40倍もの開きがある。
ドイツは1990年から女子ブンデスリーガが始まっている。12チームで構成され、下位の2チームが自動的に2部リーグに降格する。ブンデスリーガに所属する選手の平均年俸も日本円にして数百万円程度。インターネットで全ての試合をライブ中継され、その結果、ドイツの競技人口は120万人いる。またUEFA女子チャンピオンズリーグにおいてフランクフルトが最多の3度の優勝回数を誇る。
スウェーデンは4月から10月まで12のクラブで行なわれ、ウメオIKはUEFA女子チャンピオンズリーグで2回優勝し、マルタや山口麻美も所属していた。
イングランドは2011年4月から新たにWSLという特別短期エリートリーグが開幕した。女子プレミアリーグの上位リーグとして位置づけられている。セミプロリーグ。19993年当時1万400人だった競技人口は2008年には15万人まで増加した。
また今後伸びてくると予想される国としてスペインが挙げられる。FIFAランキングは20位前後だが、ヨーロッパのU−17の大会で2009年は準優勝、2010年、2011年には連続優勝している。
第7章 世界一を続けるために
日本の女子サッカーが持続的に成長し続けるためには、まず強化育成が切れ目なく行なわれることが必要だ。あらゆるスポーツで、少年・少女という下の裾野から、年代が上がるにしたがってエリート選手が選抜され、最終的に代表選手などのトップ選手に上り詰める、というピラミッド構造であると考えられる。女子の場合、2003年からU−12のトレセンで男子に混じって参加が可能になり、2005年には女子U−15のカテゴリーが新設された。また2004年にスーパー少女プロジェクトというサッカー経験のない選手を含めた身体能力の高い選手をゴールキーパーに育成するものも出来た。「なでしこチャレンジプロジェクト」というなでしこジャパン予備軍とも言える選手たちを代表と一緒にトレーニングできるシステムも作った。2006年にはJFAアカデミー福島が開校し、フランスの国立サッカー学院(INF)をモデルにエリート育成に取り組んでいる。
次に海外のクラブに所属するトップ選手を金銭的に補助する、海外強化指定制度が始まり、年間250万くらいを協会が支給する。
女子サッカーのピラミッド型の育成システムを確固たるものにするために、中学生年代の女子サッカーのプレー機会を創出する必要がある。中体連の資料による2010年度の部活動別競技人口を挙げる。
●ソフトテニス:193279人
●バレーボール:160867人
●バスケットボール:153046人
●ソフトボール:54696人
●ハンドボール:11311人
●サッカー:3538人
クラブ数
●バレーボール:9059
●サッカー:625
高校部活の競技人口は以下のとおり
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09月15日(木)
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