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妄想にっき
by 有明
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■いつか終わる恋のために、恋ひめやも
>『風が吹いている。私たちは生きる努力をしなければならない』になる」
>「それだと、全然意味が違いますよね。やっぱり誤訳なんですか」
>「誤訳と言えば(〜中略)判断は人それぞれだ。その本を読んでから、自分なりに考えてみろ」

「風立ちぬ」を読んで自分で考えてみた攻め

>「『生きめやも』は誤訳じゃないのかもって気がしました」
>「主人公は(〜中略)生きていくぞって強く言いきるのは、しっくりこないっていうか。
>でも辛くても生きていかなきゃって気持ちはちゃんとある。
>そういう心の揺れを『めやも』を使うことで表現したかったのかなって」
>「誤訳だという人間もいれば(〜中略)
>紫の匂へる妹を憎くあらば、人妻ゆゑに我れ恋ひめやも。この歌、知ってるか?」

>「美しいあなたを憎いと思っているなら、人妻なのにどうして恋しく想ったりするでしょうか。
>大体、こんな感じですか?」
>「正解。ここにも『めやも』が出てくるから、正しくは『どうして恋なんてするだろうか、いやしない』
>となるけど、歌そのものの意味としては、『私はあなたに恋している』に他ならない。
>『生きめやも』も『生きよう、いや死のう』が反転し、結局は『生きよう』という意味になる。
>――という考え方もできる」
>「なるほど。でもそれって国語教師の回答ですよね」
>「先生個人として、この『生きめやも』っていう言葉をどう思いますか?」
>「俺だったら普通にそのまま受け取るな。風が出てきた、さあ生きようか、
>いや、生きていけない、死のう。絶望の言葉だ」
>「後ろ向きだ」

攻めを拒絶してから攻めが会いに来てくれなくなり一人寂しく攻めを想う先生のシーン

>長月の有明の月夜ありつつも、君が来まさば我恋ひめやも。
>君が会いに来てくれたなら、こんなに狂おしい気持ちになることはないのに――。
>我恋ひめやも――。
>恋などするだろうか、いやしない。恋なんてしない。恋なんてしない。恋なんて……。
>水原(先生)は唐突に思った。頑なな心は裏返しだった。
>自分は本当に真剣に棚橋(攻め)が好きだったのだ。
>好きだから恋人になりたくなかった。いつか終わる恋なんかで結ばれたくなかった。


CD・原作共に表題は「恋ひめやも」ですが
原作は2部構成で、1部のタイトルは「いつか終わる恋のために」。
CDで言うとDISC1にあたります。
攻め視点で先生と再会、恋をしてから恋人と別れるまで。
そしてDISC2にあたる2部が先生視点の「恋ひめやも」となっています。

いつか終わる恋のために恋などするだろうか、いやしない。

恋愛感情が長続きしないことを知っている先生は
苦しい恋なんてもうしたくないと自分に言い聞かせながらも
恋心を募らせてしまう。
まさしく「私はあなたに恋している」という意味に他ならないと。

これはいつか恋が終わることを知っていて
だからこそそれが怖くて恋なんてしたくないと思っている受けと
恋心が消えても暖かく続く関係性を築きたい、
幸せになる努力をしたいと思っている攻めの話なので
このタイトルが本当にぴったりだなあと思って。

…ってこれCDというより原作の感想だな。

CDのブックレットに原作の後日談である
「恋ひ恋ひて」というタイトルの
書き下ろしショートストーリーが載っています。
くっついてからの先生の心境の変化が描かれていて
短いながら2人がいい感じで超ほっこりできるのですが
CDではカットされているエピソードから派生する話なので
原作未読の人には多分わからないと思う。



※>で始まるグレー文字は英田サキ「恋ひめやも」より引用

12月26日(日)
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