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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■君の名を呼べない(後編) BL■ACH
「俺さあ・・・一護たちが学校行ってる間、ずっと暇だろ? 縫いぐるみの姿じゃ、外も出歩けねえし。だから、部屋にある本とか雑誌とか、良く読んだりしてるんだけどよ・・・」
「それが一体、何だというのだ?」
「結論を急がないで下さいよ、姐さん。順序、ってもんがありますから。
俺はどっちかって言うと、特盛の女の子のグラビア写真とか、見たいなとか思ってるんだけど、あいにく一護の野郎はほとんど持ってないしよお・・・」
「放っとけ☆」
「ちょっと待て。『ほとんど』と言うからには、極少数ではあるが、一護も持ち合わせているということなのだな? 『とくもりのおんなのこのぐらびあしゃしん』とやらを」

 ・・・そこで何で鋭いツッコミ、するんだよルキア。

「断っとくけどな。アレは啓吾が押し付けてきたんだ。俺は、その、ちょびっと見ただけで・・・」
「ほお、見たのか」
「だから、ちょびっとだけだって!」
「言い訳する辺り、怪しいではないか。・・・よもや一護、貴様の頭の中で、井上にぐらびあしゃしんと同じ姿をさせたりしているのではあるまいな?」

 水着姿で挑発的なポーズをとる、プロポーション抜群の井上・・・!?

「だあああっ、思わず想像しちまったじゃねえかっ! てめえルキア、そうやっていらん煩悩の種をばら撒く方が、よっぽどタチ悪いって知ってるのかっ!」
「私は井上の心配をしたまでだ! 友人の身を案じて、何が悪い!」

 理性を必死に保とうとする俺と、一応あくまでも純粋に井上を心配しているらしいルキアは、その場で一触即発の状態に陥ったのだけれど。

 ダンッ!!

 すさまじい音にたじろげば、そこには完全に目の座ったコン。
 デオドラントスプレーの底を渾身の力で机に叩きつけて、俺たちの口論に割り込んだのだ。
 それこそ、もしヤツが握力増加型の改造魂魄だったら、さっきの勢いでスプレーを握りつぶしかねないような、とてつもない剣幕を漲らせて───。

「・・・話、続けていい、よな? 一護。姐さん」
「お、おう、悪かったな」
「ど、どうかお話を、続けてください〜」

 いつになく静かな殺気に満ちた形相で、たちまち消えうせるのは俺の煩悩。
 静かになった俺とルキアを一瞥してから、コンは話を再開させた。

「・・・特盛のグラビア写真はなくても、暇持て余してりゃつい読むってもんだよな? それで俺もあれこれ読んでたんだけどよ、そのうち記事の部分も読み飽きてよ。所謂読者コーナーにも目、通したんだ」
「読者コーナーって・・・アレかよ? 投稿で本音暴露しまくってる」
「一護も読んだのか?」
「た、確かに読んだけどな。女の本音ってヤツがちょっとヤバ過ぎて、中途で読むのやめちまったよ!」
「ヤバ過ぎるって・・・そんなに際どい話題ばかりだったのか?」
「そうだよ! はっきり言って、男の夢とか理想とかぶち壊す代物だったんだよ!」
「そう言うヤバい投稿文章を、貴様も何だかんだと読んだ、と」
「あのなあ・・・」

 コホン。

「・・・スミマセン。話の腰を折ったのはワタクシです」
「ちゃんと聞きますから、続きお願いします・・・」

 さっき以上に不機嫌なコンの視線に、俺もルキアもつい下手に出てしまう。
 ───しかし、ここまでコンのヤツをマジにさせる話題って、一体何なんだよ?

「とにかく、その読者コーナー読んでたらよ。ちょっと気になる固有名称があってよ」
「気になる固有名称?」
「おう。変だな、って思って、他の雑誌も読んでみたら、そっちにも何箇所かあってさ。話の前後から察するに、どうやらやっぱり同じもののこと指してるみたいで」

 コンの長ったらしい話も何とか、本題にたどり着いたらしい。

「『買いだめする』だの『財布に隠す』だの書いてあるから、どうやら何かに使う道具だ、ってことは分かったんだけどよー。その後ほとんど決まってHな話になってんだよ。やれ、彼女を連れ込むだのなんだの」
「・・・その、何冊かの雑誌に共通して登場する道具とやらが、コンが気になっているものなのだな? それで、一体それは何なのだ?」


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04月12日(火)
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