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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■一昼夜【いちにち】(1) ネウロ・筑紫視点
 ども。久しぶりにこっちの更新する、ちゃんちゃん☆ です。

 とーとつですが今、ネウロにハマってます。元々WJでの連載開始当時から、面白いと思ってましたv(読みきりバージョンは知らない) 会話のテンポがよろしいのと、キャラクターの妙が理由でしょうね。
 で、この度単行本一気読みをしてたら、つい思い浮かんだ話があったので、書いてみることにしました。放映中のアニメでもちょうど、クライマックスに差し掛かる頃ですし。

 時期は電人HAL編の設定です。既に誰かが書いてるかもしれませんが、「あの」後、どうやって弥子たちが空母から引き上げたのか、自分なりに納得したかったのともう1つ。この設定で、弥子が警察関係者にいかに認められる存在になったのか、を書き上げたかったんで。・・・・・まあ要するに『弥子・皆から溺愛』状態を、無理のない設定で書いてみたかった、ってことになるのかな(^^;;;) 
 尚、吾代氏はマイカー破損による傷心中のため連絡が取れず、登場しません。あしからず。

 どーでもいいが、相互リンク先にコラボとは言え、ネウロ扱ってるサイトさんがいるんだよなー。反応がちょびっと怖かったり☆

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『笛吹刑事に、外線からお電話です』

 その連絡を内線で受けたのが指名された笛吹直大本人ではなく、彼の部下である彼、筑紫候平だったのは、偶然と必然がもたらす結果に過ぎない。



 ───人間は、無力だ。
 それは学生時代、尊敬する先輩の身に降りかかった暴虐に対して、どうすることも出来なかった当時の筑紫が、心底思い知らされたこと。
 だが、それから約10年たった今───あの時とはまた別種とは言え、同じような深刻な無力感に、よもや再び打ちひしがれることとなろうとは。

 現在東京湾内に停泊中の、某国原子力空母 ハーヴェイ・オズワルド。
 かつての被爆国であり、放射能汚染の恐ろしさを最も知る国民と言っても差し支えないのが、ここ日本だ。にも拘らず、その都心に居座るその原子力空母は、こともあろうかプログラム人格と言う名のテロリストが、支配してしまっている状態である。
 向こうのご機嫌を損ねたが最後、日本はおろか近隣諸国すら滅亡してしまう恐怖に、国民はなすすべがない。イヤ、どこの国の強力な軍隊でも、手をこまねくしかないであろう。

 あいにく、筑紫は警察官だ。空母に直接どうこうできる立場ではない。それは防衛庁に任せておくのが妥当で、自分たちには自分たちの果たすべき役目が待っている。だから、電子ドラック中毒者やそれに便乗した犯罪者等を取り締まることに、上司の笛吹共々奔走するしかなかった。
 もっとも、自分たちはまだマシな方なのだろう。何も出来ず恐怖に駆られるしかない一般人や、その逆に、厳戒態勢で待機を余儀なくされている自衛官たちの極限状態での緊張から比べれば。


 その日。
 夜になって東京湾は突如、大恐慌の真っ只中に放り込まれてしまった。
 防衛庁のお偉方曰く「現状を把握できないどこぞの阿呆」が、こともあろうに空母へ攻撃を仕掛けたからである。それも、同じ空母でならともかくも、たかだか軍事ヘリ一機による砲撃十数発で。
 責任問題を問おうにも、自衛隊がその暴挙を確認した時既にそのヘリは空母からの砲撃で撃沈した後で、機種も国籍も判明できず。誰が何を目的に攻撃を仕掛けたかは、結局謎のままに終わった。

 救世主を気取るヒーロー志願者か、あるいは派手な道連れを切望する自殺志願者か。
 いずれにしろ、その何者かは一瞬のうちに撃沈されてしまったから、悔いは残したくても残らなかったろう。が、そんな感傷に浸る暇なぞ与えられなかったのは、遅れをとったその他大勢の人間たちの方である。
 何せ、件のテロリストこと電人HALが自分たちに要求したことの1つは、「私と私を積んだ原子力空母に、決して危害を加えないこと」だったから。それが何者かの暴挙で踏み躙られた今、怒りに駆られた電人HALがいつ原子炉が破壊するか、分からないではないか・・・!


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01月25日(金)
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