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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!!(15)前編
茂保衛門様 快刀乱麻!!(15)前編


※このシリーズもやっとこさ、最終話に差し掛かりました! 物語で言うところの「エピローグ」的な話であります。
 手元のログを見たところ、このシリーズをレンタル日記で始めたのが2002年03月04日(月)とのこと。つまり、足かけ2年以上趣味の世界を、もたもたと書き進めていた計算になるんですねえ・・・(ーー;;;)
 ついでに言うならば、このシリーズを最後に更新したのは去年の暮れギリギリだったから、モロ半年更新滞らせていた計算になります。ラストは大まかな内容、大体決まっていたと言うのにねえ。何モタついていたんだか・・・。

 まあでも、無事終了するめどがついたことだし、終わりよければ全て良しv ってことでvv(←自分で言うな☆)
 では、また後書きで失礼します。


**********************


 それは、青く澄んだ空がとても高く感じられる日のこと。


 コ・・・ン、コ・・・ン・・・。


 木槌の打ち下ろされる音。
 大勢の男たちが働きながら発する声。
 そして、カンナをかけられたばかりの木材から漂ってくる、それは良い香り。

 何かが新しく生み出される時・独特の空気って、心地よい感じがして結構好きなのよねえ・・・。


「ここにいらっしゃったんですか、榊さん」


 街の一角で、大工たちが忙しく立ち働く姿を何とはなく眺めていたあたしに、無粋な声がかけられる。
 もちろん、声の主は御厨さん。


「何か御用ですか? あんまり怪我人をこき使ってほしくはないんですけどね」


 そう返すあたしの体は、あちこちお薬の匂いのする布が、巻かれたり張られたりしている。ことさら顔はと言えば、頬から顎の辺りにかけてピッチリと布で覆われていて。
 御厨さんみたいな「体力馬鹿」とは違い、見るからに荒事には向かない人間がそんな格好をしてると、どうやら相当目立つみたい。さっきから大工たちの遠慮がちな視線が、チラチラと向けられて来てるから。


 そんな大工たちの視線を気にしつつも、御厨さんは生真面目にも返してくる。


「いえ、用というわけでは・・・大体榊さん、今療養中でしょう」
「・・・さては母上が押しかけて来たのね? まーた盗賊改に文句言いに来たってトコロ?」
「ご心配されているんですよ。やっと起き上がれるようになったところなのに、あちこち出歩かれて、悪化させるんじゃないかって」


 おやおや、母上ったら随分昔と態度が違いますこと。
 やれ、もっと男らしくしなさいだの、剣術もまともに使えない武士など情けないだのと、煩かったくせに。


 あたしが何とも言えない自嘲を浮かべる意味に気づいたんだろう。珍しく御厨さんは気の利いた言葉をかけてくる。


「文句を言えるのもお互いが元気であればこそだ、と分かられたからではありませんか? 大体、榊さんが担ぎこまれた時のあの方のご心配ようと言ったら、並大抵ではありませんでしたから」


 そ、そんなこともあったかしら? 
 ・・・まあそれが事実だったとしたら、あの時一番母上に噛み付かれたのは、他ならない御厨さんですからねえ。実感としてしみじみ言いたくなる気持ち、分からなくはないわよ。


*************************


 あの時───あたしが疲労と、火傷の痛みに耐えかねてその場に崩れ落ちてから、実はまた一波乱あったのである。(とは言っても、別に怨霊がらみとか、《鬼道衆》がらみの騒動じゃないんだけど)

 とりあえず動かしても大丈夫なくらいにと、美里藍によってよくワケのワカラナイ応急措置を施されてから、あたしは自分の実家へと担ぎこまれた。

 その時、たまたま屋敷内にいてあたしを出迎える格好となった母上は、と言えば、あたしのあまりに惨い火傷の具合に、その場で卒倒。


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07月25日(日)
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