ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■そして始まる日々(4)JOJO 広瀬康一 
 ここでのパロ小説を書いているうち、気がついた事があります。

「流×彩も康一話も、何で無口なキャラがメインなんだ〜!?」

 流×彩では言わずと知れた流川。JOJOでは空条承太郎氏・第4部仕様。まあこの2人、実に喋らない。無言実行型を地で行くんだもんなあ。まあ流川は「めんどくさいから喋らない」で、承太郎の場合は「話さなくても他人には自分の思ってる事は分かると思ってる」で、全然違うキャラですが。
 で今回、本来なら無口な承太郎が喋りまくります。そしてこれこそが、ちゃんちゃん☆が康一に言ってあげたかった事でも、あります。でわ!

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 本当に馬鹿げた話だと思う。「もしも」なんて仮定が、未来の事ならまだしも、もう過ぎ去ってしまった過去の話だなんて。
 だけど、時々情けなくなる気持ちはどうしようもない。「もしも」スタンド能力がなかったら、僕と友人付き合いをする人はそんなにいなかったんじゃないか、って。
 だってそれって、スタンドしか僕の取り柄がない、ってことと同意語だから。


「・・・康一くん」
 承太郎さんが口を開いた。
 その表情からは、もう困惑は消えている。強いて言えば、何かを強く決心した表情に見えるのは、僕の気のせいだろうか?
「仗助が・・・以前私に話した事がある。君の事だ」
「・・・僕の?」
 何だろう? 恥ずかしい事だったら、ヤだな。
「虹村形兆と君たちが対決したことがあった。『弓と矢』を巡って。とりあえずケリがついた時、君はあいつに言ったそうだな。
『弓と矢はどうするの?』と」

 そう言えばそんなことがあったっけ。
「仗助はその時、一刻も早く屋敷を逃げようと考えていた。まあ当然だろう。刑兆にやられたダメージがあったからな。だから今は放っておこうとしたが・・・君は断固反対した。『弓と矢』をそのままにしておけば、この街でまた誰かが死ぬ事になるから・・・そう言って、自分1人で屋敷内を捜索しようとした、と」
「・・・?」
 今度は僕が、承太郎さんの言いたい事を理解できなくなる番みたいだ。何とも相槌の打ちようもなくって、馬鹿みたいに口を開けたままにしてたんだけど。
 次に承太郎さんが言ったセリフに、耳を疑った。
「仗助は・・・あいつはその時、君にはかなわない、そう思ったと言っていた」

 ・・・何、それ?
 仗助くんが僕にはかなわない、って一体・・・。

「私も・・・正直言ってあいつの言いたい事が分からなかった。だが、仗助が続けてこういった時、やっと理解する事が出来たんだ。
『いくら怪我をしてたからって、俺はスタンドが使える。なのに何もしようとしなかった。あいつはスタンドを使えないまでも、何とかしようとしたのに。情けねえ・・・そう恥じていたら、不思議に怪我だらけの体なのに力が湧いた』と」
 ───仗助くんがそんな風に思っていたなんて、知らなかった。
 あの時僕と一緒に『弓と矢』を探してくれたのはてっきり、僕が頼りなくて見てられなかったからだと思ってたから・・・。
「仗助は、君が1人でも探すと言ったからこそ、手を貸したんだ。これは決して、スタンドの力じゃあない。君本来の、魂の力だ」
「・・・承太郎さん・・・」
「君はもっと、自分を誇りに思ってもいい。私はそう思っている」

 魂の力・・・。
 すごく良い言葉だ。
 心の底から勇気がにじみ出てくるような、そんな力強い響き。


「・・・コーヒーのお代わりはいるか?」
 唐突に承太郎さんが聞いてきて、僕は慌ててカップを差し出した。
 コーヒーの香りが、部屋中を満たして行く。
 承太郎さんは僕にコーヒー入りのカップを返してから、傍らの椅子に腰掛けたんだけど・・・どこか疲れているように見える。
「・・・康一くん」
「はい?」
「私は・・・昔、スタンド能力を身につけた時、自分を呪わしいと思った事がある」
 ・・・何だか今日は、承太郎さんの言葉に驚かされっぱなしのような気がするなあ・・・。

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09月20日(木)
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