ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■世界で最も端的なる主張(モン●ーターン)
 が、波多野の焦りも、榎木の頭痛もどこ吹く風で、蒲生はマイペースだ。


「そう言う言い方、カド立つきにやめて下さいって。言ったでしょお? 負けるハズはない思うとったから、っちゅうて。
・・・そやな。『今更や 横綱相撲 騒ぎなや』ってトコかな」
「・・・何だそれは。川柳か?」
「ヘタクソですけんど、発想の転換っちゅうか。さっきからこいつらと一緒に、ちょっとやっとったんですわ」


 それに、と。
 蒲生の声質が若干変わったことに気づき、波多野は焦っていたことを忘れて榎木と顔を見合わせる。


「・・・犬飼さんやて、ワシらのこと言えんのと違いますか? ワシが今日のベストタイム出したレースん時、例の如く寝とられたんでしょ? さすがやわ。明日のレースこそうかうか出来ん、思うとりますわ」
「確かに、お前らんことは言えんな。・・・ま、結局のところ最大のポイントは、自分をどうベストへ持っていくか、っちゅうことやからな。
つまり蒲生、お前にとっちゃ、そうやって波多野たちとふざけてるのが、マイペースを保つ秘訣っちゅうことなんか」
「へへ、そこんところは想像に任せますよって」


 野性の本能か、あるいは人生経験の差か。
 見事なまでに一髪即発状態を収拾してみせた蒲生は、かるく波多野たちへウインクして見せた。そろそろ引き上げ時だから、と言うことなのだろう。
 
 どことなく胸をなでおろし、蒲生が肩を組んでくるのに任せ、彼と共にそのまま食堂を出ようとした波多野と榎木だったが。



「あー、そう言えば犬飼さん、犬飼さんやったらどないな川柳、作るらはるんですかー?」


 ・・・蒲生が、仮にも先輩に向かって気安い言葉をかけたので、眉をひそめずにはいられない。

 が、当の犬飼はと言えば。
 まるで端からそう持ちかけられることを分かっていたかのように、大して気を害した風でもなく、こう応じたのであった。


「『故郷(フルサト)で 同じ獲るなら より上を』」




《終》


*************

※久しぶりに書いた「モン◎ーターン」なのに、キーボードを叩く手が進む進む・・・。川柳って結局、個人の主張合戦みたいなものですからね、結構楽しかったです。
 ホントは潮崎の『息子との プリクラ見せて 笑むライバル』(岡泉のこと詠んでる)とか、純の『A1に なりて気がつく 面白さ』とかも用意してたんですが、中途半端になりそうなんでやめときました。
 ちなみに最後の犬飼さんのは、「三■でSGやらないのかなー? 間近でSG見たいなー」と言う、ちゃんちゃん☆ の願望ですんで。ハイ。

01月19日(金)
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