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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■茂保衛門様 快刀乱麻!(5)
そう判断したあたしは、ゆっくりと立ち上がって笹屋をおいとまする事にした。
「それじゃお邪魔様。もし何かあったら、また知らせて頂戴な。それと今あたしに話したことは、誰にも口外しないこと。その方があなたのためでもありますから。・・・よろしいですね? 笹屋さん」
「あ、あの・・・」
笹屋の女房は脅えながら、縋るような目であたしを見上げてくる。まあ、彼女が不安であることには変わりはないからねえ・・・。
仕方がないから、あたしは振り向きざま情けをかけてあげることにする。
「・・・安心なさいな。あたしの手のものに、ここを見張らせることにします。いざと言う時に炎の鬼とやらに対抗できるように、密かに、ね」
『密かに』、そう付け加えたのは、町の皆には気づかれないようにしてあげる、と暗に言っているのであり。
それはひいては、奥方が今回の件を黙っていたことを不問に付すことをも、意味してるのよ。分かる?
「あ・・・ありがとうございます・・・・・!」
察しがいい彼女は、畳の間にこすり付けるようにしてあたしに頭を下げるのだった。
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しかし・・・。
笹屋の廊下を、玄関目指してゆっくり歩きながら、あたしは頭が痛かった。
いえね、別に久兵衛や又之助のことじゃないの。玄関で御厨さんの足止めを食らった《龍閃組》が、ちゃんと納得していてくれるか、ってことをね・・・。
彼らと少しは仲が良い御厨さんに任せたから、一発即発って状態じゃあないでしょうよ。ただあたし、彼らのことを素人呼ばわりしちゃったからなあ。馬鹿にされたと思った蓬莱寺辺りに、敵愾心むき出しでやいのやいのと怒鳴り付けられると思うと、ドッと疲れを感じちゃうのよねえ。
───断っておくけど、あたしは別に彼らに好かれようだなんて考えてない。火附盗賊改なんて言うものは、皆に恐れられる存在であるべきだから。それが奉行所とは違うところなの。そうすることで、犯罪を抑制することもできるし。
それに、馴れ合いの延長上で依存し合ってては、良い関係になれると思わないわ。今みたいに喧々囂々と、言いたいことを言い合える方が、広い意味で言えば建設的じゃない。(上役《あたし》と部下《御厨さんや与助》がそうだって言う意味じゃないわよ、火附盗賊改と《龍閃組》の関係を言ってるの)
だから、これが今じゃないんなら蓬莱寺が噛み付くことぐらい聞き流してやるんだけど・・・なまじこのところ食欲がない上に、さっきの久兵衛の姿見た衝撃で体力、使い切っちゃったのよ。役宅に帰るまで、気力もつかしら?
それでも、絶対弱みは見せるもんですか! なーんて気合を入れ直して玄関に戻ってきたんだけど・・・。
「あ、榊さん帰って来たよ」
───桜井小鈴の言葉に、一斉にこちらを振り返った《龍閃組》の様子が、何だかおかしいことにあたしは気づいたのだった。
《続》
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※今回、ほとんど榊さんの独壇場ですね・・・もっと話を進めるつもりでいたんだけどなあ。まあ最初と最後に《龍閃組》が出せただけでも良し、としておかねば。
03月26日(火)
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