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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■みんなでごはんを食べようか 後編【鳴門】
 彼は、どこか痛みを伴った懐かしさと共に、ゆるい笑みを浮かべていた。


「・・・ま、この様子なら、リー君は大丈夫みたいだねー」


 馬鹿なことをしていた───そう自ら呟いた上忍は、ネジに己れを、そしてリーに自称・ライバルの姿を見ていたらしい。

 かたや天才、と呼ばれ、孤高を気取っていた少年と。
 そしてかたや、落ちこぼれだと周囲からあざ笑われながらも、懸命にあがいていた少年を───。


「・・・・・・・・。当たり前だ」


 まだまだカカシには及ばないものの、唇の形を精一杯、笑みの形にして見せたネジであった。





「む・・・スマンがネジ、また皿とスプーンを出してくれ。今度は2組だ」
「は?」
「2組って・・・」
「何かこのパターン、さっきあったわよね?」
「そう言えば今日って、月末に当たるんじゃないの〜?」
「「「ま、まさかそれって」」」
「カカシ、お前が妙な話を持ち出してくるからだ。噂をすれば影とやら、と言うだろう」
「あのねえ、言いがかりはよしてくれない? 完全に偶然だって」


「おーいガイ、今月懐が寂しいんだ。飯食わせてくれ」
「スミマセンが、今月は色々と物入りでして・・・元班員のよしみで、ご馳走してくれませんかね?」
「お前ら・・・なんで揃いも揃って・・・もうとっくにご飯は残ってないぞ!」
「あ、心配すンな。ちゃんと持ってきたから」
「そのくらいは、自分できちんと用意してきますよ」
「そこで胸を張るな! 全然威張れんぞ!! おまけに何だ、そのタッパのご飯の量は!!」


「・・・とか何とか言いながら、ちゃんと皿もスプーンも用意してあげるのよねー、ガイ先生」
「あ、ひょっとしてさっき、俺の時もそうだったの?」
「ええ、数秒前から来られるの、気づいてましたし」
「一応は牽制しておかないと、いつも当てにされても困るんだろう」



 苦味も、辛さも、ほんの少し混ざる甘やかさも。
 煮込んでしまえば皆、それはそれで程よいアクセントになって。



 ───俺が、お前らと一緒に、食べたかったんだよ。

 ───カレーって、出来たら大勢でワイワイ食べた方が、楽しいじゃない。



 だから。
 みんな揃ってご飯を食べようか。


◆終わり◆

08月03日(日)
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