ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■正義の味方にあやかって(仮すぴ)
 SPIRITSの隊長ともあろう男が知らないのか? と村雨が眉をひそめるのに、滝は慌てて言いつくろう。


「あ、イヤ、ライダーたちが、バダンの残党たちの一掃に乗り出してるのは、知ってるぞ勿論。ただ、あいつが単独行動とってるとは、聞いてなかったもんだからよ」


 バダンは壊滅したものの、下っ端たちが生き残りよからぬ野望を持たぬとも限らない。それで『一応念のため』、仮面ライダー及びSPIRITS隊員が各地方に飛んで、調査や探索に乗り出しているのだ。
 むろん、バダンでなくても妙なことをしでかす犯罪者予備軍にも、ちょっとお灸を据えてやる任務を兼ねて。

 だから、スカイライダーの相棒を自認するがんがんじいも、てっきり筑波洋と行動を共にしていると思い込んでいたのだ。

 何せ、改造人間でもなければ、正規の訓練を受けた戦闘員でもないにもかかわらず───いくらSPIRITS隊員の助けがあったとは言え───バダンのピラミッド入り口の鍾乳洞へ突入するわ、巨大なキングダークへダイブかつ潜入するわと、無謀な作戦を敢行したのみならず、ほぼ無傷で生還しているぐらいの言わば『有限実行型』。
 その2つが他ならぬ、滝を(結果的にだが)助けるためだったことを知っているだけに、まさか今更筑波と別行動を、とは考えつかなくても無理はない。

 首をかしげた滝が「あいつら喧嘩でもしたのか?」と呟くと、村雨からのやんわりとした否定が入る。


「どうせなら自分の強力(ごうりき)を有効利用したいから、って、復興作業の方に協力しているらしいぜ。
残党一掃は筑波さんたちに任せておいても、もう大丈夫だろう。だから、今自分は、自分の手が届く範囲で人助けをしたいんだ───そう言って筑波さんを送り出したんだって、この間メールで聞いた」


 村雨にそう言われ、滝はここへ来るまでに見た、少しずつ復旧しつつある街の様子を思い出す。
 諍いつつ、文句を言いつつ、建設現場で働く人々は、それでもどこか前向きで、明るくて。バダンを倒したあの時より殊更、日本が平和になったんだ、と実感させてくれる彼らの姿。

 がんがんじいも、だから、少しでも彼らの力になりたいと、戦線離脱を決意したのだろう。そして筑波もきっと、笑顔で送り出したに違いない。

 ただ、それでもどうしても、筑波たちのことを思い出してしまう時もある。戦いにはケリがついたとは言え、ふとしたことで彼らの身を案じてしまう。とは言え、事情を知らない一般人の前で彼らの話題を持ち出しては、差しさわりが生じる。

 だから、心置きなく話が出来るここへ来たのだろう。恵方巻きの厄落としを、半ば口実にして。


「ほ〜い! おまっとうさん! 出来たで、ワイらの最高傑作!」
「見て見て良さん! 綺麗なの出来たんだから」


 それでは、遠慮なく。
 厄落とし効果抜群そうな、英雄たちの恵方巻きを戴こうか。


《終》

◆おまけ◆

「で・・・どーするんだよ、こんなたくさん作って。そんなに食えねえぞ俺は」
「そやかて、せっかく酢飯が仰山あったから、使い切らんともったいいし」
「そ、それにZXとスカイだけだと、偏り過ぎでしょ?」
「まあまあ。万が一食べ切れなくても、診察所に来る患者さんたちに配ればいいだろう?」
「配るのか? 俺が全部食うのは、ダメなのか?」
「・・・村雨、お前どんな食欲してんだよ・・・」



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※一日遅れのネタでごめんなさい。後書きは翌日名義の欄にて。

02月03日(金)
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