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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■旨味だけ奪おうだなんてそうはいかない【コ▲ン?】ブラックユーモア系
「とにかく、水分補給代わりにジュースをどうぞ。喉が渇いたでしょう」
「あ、ありがと、安室さん」
「それで? 失恋したわけじゃないんだったら、一体どうして園子さんがここまで悲しんでいるんですか? 蘭さん」
「園子ちゃんには今は聞けない、って判断したのね。さすがは安室さん」
「ええと・・・要するに、この間お父さんが、沖野ヨーコさんの熱愛スキャンダルで落ち込んだのと似たような状況、と言うか・・・」
「熱愛スキャンダルなら、まだめでたいわよっ!
【時の政府】がそこまで鬼畜なんて、あたし、一気に人間不信に陥りそうだわっ!」
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「ええ、と? 政府が何か、非道な政策でも行なっていましたっ、け?」
「違うんです。現実の世界の話じゃなくって、所謂ファンフィクション、って言うんだったかしら?」
「・・・つまり、映画とかテレビドラマとかで制作者側が公開しているものではなく、ファンが好きなキャラクターを動かして全く別の物語を作り上げる、と言うことで良いのかな?」
「そうです安室さん。二次創作、って呼ばれ方もしてたっけ」
「へえー。そんな創作ジャンルがあるんですか。何だか面白そうね」
「そんな呑気に構えてられるのも、今のうちよ梓さん。
時々、最終的にはハッピーエンドだけど、そこに至るまでの過程が魂を抉るような作品もあるんだからっ! ・・・救いのないBADENDよりは断然ましだけど」
「つまり、園子ねえちゃんは、その『魂を抉られる作品』ってヤツに、グッサリやられちゃった、ってわけなんだね?」
「そういうことらしいわよ。私も詳しくは聞いてないけど」
「あんたは知らなくていいのよ、蘭。あんたには新一くんとの来たるべき、ラブラブな世界観だけ知っててくれればいいの」
「「ら・・・★」」
「それでそれで? その物語の政府って、どんな鬼畜なことをしたの?」
「梓さん・・・まさか梓さんが、そんなわくわくした顔でそういう物語の顛末を聞きたがるなんて・・・悪趣味ですよ」
「良いじゃないですか、安室さん。所詮は物語だし、最終的にはハッピーエンドなんでしょ?」
「そ、それは、そうなんです、が・・・」
「あれれ〜? どうしたの? 安室のお兄ちゃん。表情硬いねえ?」
ダンッ!!
一気飲みしたジュースのグラスを、音を立ててテーブルに叩きつける園子。
「・・・良いわ。こうなったらぶちまけてやる。人に話した方が、この虚しさや遣り切れなさが、少しは発散されるだろうしね」
「その通りよ、園子ちゃん。ここだけの話にしてあげるから、遠慮なく話してみて」
「梓姉ちゃん、おっとこまえー」
「スミマセン、梓さん。何だか園子、酔っぱらいみたいで」
「いいのいいの。どうせお客さんもいないし」
「・・・・・」
「要するにね? とある別世界の話なんだけど、圧倒的不利な条件で戦っている、正義の味方の勢力があるわけ。最悪、世界の崩壊に繋がりかねないから、なりふり構っちゃいられない、ってんで、新しい武力投入をしたの。これが【時の政府】の仕事ね」
「ふんふん」
「この正義の味方の勢力は、いくつか別々に存在してて。基本的にリーダーは頭脳担当。陣地を構えて戦士たちに命令を下すわけ」
「リーダーは直接闘ったりはしない、ってわけだね?」
「そ。
ところが、この闘う戦士ってのがなかなか見目麗しかったり、使う武器が希少価値が高いものもあったりするんで、中には私欲に走るリーダーもいるのよ。あくまでも、ファンフィクションの中では、の話だけど」
「私欲?」
「例えば?」
「夜伽を強いる、とかー」
「よ・・・・・!?」
「希少価値が高い武器欲しさに、他の戦士を使い潰す、とかー」
「ええー! そんな殺生なことするの?」
「梓姉ちゃんの大尉(オスの三毛猫)を手に入れたいために、手段を選ばないのと似たようなこと?」
「ううーん、似てるような、そうでもないような」
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07月27日(金)
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