ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■ながいともだち【鳴門】
「要するに、そのボディーガードは、ガイに役目を奪われたことで、いたくプライドを傷つけられた。で、報復しようとこちらへ向かっている。ハク付けの意味もあるか。
でも、ガイがそいつらを返り討ちにしても困る。打ち身程度の怪我で諦めて帰ってもらうよう、仕向けてる最中───と言ったところですか」
「それも理由のひとつではあるが・・・おしいな。80点と言ったところか」


「おしい、って・・・他にどんな理由があるって言うんですか?」
「さっき、御曹司の写真を見たな? 見てお前、何か感じなかったか?」
「え・・・ですから、社長の息子とは思えないと・・・」
「どうして、そう思ったんだ?」
「その・・・この男の・・・髪が、随分薄くてみすぼらしいから・・・って、あれ??」
「ちなみにこの男、ガイと同い年だぞ」
「同い年!? 本当ですか!?」
「こんなことで嘘を言ってどうなる?
そこまで情報提供すれば、分かるだろう? どうしてガイが、命を狙われたか」


「・・・おい、どうしたネジ。気分が悪くなったのか? 
だとしても、そんなところでうずくまってもらっては困るぞ」
「ば・・・馬鹿馬鹿しい・・・・・っ!」
「そう言うな。本人にとっては、切実な問題なのだろう」
「言いたくもなりますよ! ガイのことだ、暑苦しくも真面目に、護衛役をやってのけたんでしょう。なのに、こともあろうにその守ってやった相手から、命を狙われるなんて。
しかも理由が、単なる嫉妬じゃないですか!」
「ガイの黒髪は、くのいち達の間でも語り草になっているからなあ。
大した手入れをしている様子もないのに、どうしてあれだけツヤツヤのキューティクル状態を保っているのか、とな」


「くのいちですら羨ましがってるなんて、知りませんでしたよ・・・。
なら、薄毛で悩んでる男なら尚のこと、というわけなんですね」
「ネジ、お前はさっき、暑苦しくも真面目に護衛をしていた、と想像出来たんだろう? なら、護衛中ガイが、あのツヤツヤの黒髪をなびかせながら奮戦しているさまも、簡単に想像出来るんじゃないか?」
「あまり想像したくはありませんが・・・今まさに目に浮かぶようで怖いです」
「その様子を、護衛されながらも後ろから眺めるハメになった御曹司の葛藤も、分からなくはないんじゃないのか?」
「それとこれとは話は別です。
人間性に若干・・・いや、大いに問題のある師匠ではありますが、こんなしょうもない理由で命を狙われる謂れはありませんよ。
俺は正直、生涯初めてあの男の境遇に同情したくなる・・・!」


「おいネジ、お前、この件がお前にはまるで無関係だ、と思っていないか?」
「・・・・・は?」
「お前も、それはそれは美しい、長く黒い髪をしているだろう?」
「・・・いくらぼんくらの御曹司でも、これだけ年が離れた人間の髪に嫉妬するとは、思いたくないんですが」
「御曹司の件はさておいて、だな。お前の髪も、くのいちたちの羨望の的なんだぞ」
「それこそ俺の知ったことじゃないです」


「まあ、聞け。最近、美貌で有名な某・女優が、髪のつやがなくなったと悩んでいるのを知っているか?」
「火影ともあろう方が、一体どんな情報を集めてらっしゃるんですか・・・下世話ですよ」
「なかなか面白いんで、つい、な。
・・・まあともかく、万が一にもそう言う任務が回ってくることはないだろうが、お前とガイの二人は絶対、彼女の前には姿をさらしちゃいかんぞ。ただでさえ、世話係の髪の質に嫉妬して解雇した、なんて話題が伝わってくるほどだ」
「・・・・・・」
「髪に悩む連中に、背中から刺されないように、な?」
「・・・・・・ご助言、感謝いたします・・・」


◆おしまい◆

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※しょーもなっ!! イヤ、自分で書いたんですが。

 この間、とある情報番組で、薄毛になりやすい条件、というのをやっていて、遺伝等もなくはないけど、ストレスや暴飲暴食も理由になるんだそうで。


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08月11日(月)
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