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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■そして始まる日々(5)JOJO 広瀬康一
「ま、大体の事情は分かってるよ。昨日君は承太郎さんに杜王グランドホテルへ呼び出されて、何事かを頼まれたんだろう? 『それ』関連だってね」
「え、ええ、そうなんですけど、何で・・・・」
「『何で分かったのか』かい? 昨日、あのくそったれ仗助が、あほの億泰にぶつぶつ愚痴っていたのを、たまたま聞いただけだよ」
露伴先生・・・相変わらず口が悪いなあ・・・☆
「僕としては、あいつの不機嫌そうな顔を見ているだけで溜飲が落ちたけどね。・・・しかし、それで把握したのは、承太郎さんの用件とやらは意外に平和的で、しかし一般人にはできそうにない秘密裏なことだってことだ。彼の性格上、危ない用件なら他人に任せるよりは、自分でやるだろうし。そして、あのくそったれ仗助の『クレイジーダイヤモンド』の能力は確かに脅威だが、髪型のことをけなされるとキレるような性格では、行く先々でトラブルを起こしかねない。それに比べれば、君の穏やかな性格なら、どこへ行っても通用しそうだ。『エコーズ』なら、射程距離も長いからね。さすがは僕の親友だ、と言うところだろう」
これって・・・僕のことを褒めてるのか、仗助くんのことをけなしたいのか、あるいは露伴先生自身が自慢したいのかよく分からないよ。・・・全部、かも知れないけど。
「だが、さすがの僕も分かったのはそこまでだ。僕としては直接君から正確な情報を得て、一刻も早く知的好奇心を満足させたくて、うずうずしてたんだ。そしてそれに、どのような形で僕が関わるかも、ね。───康一くん、僕に頼みたいことと言うのはどんなことなんだい?」
ああ・・・また変にわくわくしちゃってるよ、露伴先生。
僕が先生に頼みたいことって、彼の言う『知的好奇心』を満足させてくれるのかなあ?
とはいえ、仕方がないから僕は昨日承太郎さんに頼まれたことを全部、露伴先生に話すことにした。もちろん他言無用だと、前置きした上でだけど。
こうやって露伴先生に説明することは、実は承太郎さんにも了承済みだ。下手に隠し事をしたらヒネて協力してくれないか、ものすごい彼の行動力で余計なことまで探られるのが、明白だったから。ちなみに、今日こうやって持ってきたケーキの代金も、承太郎さんもちだったりするんだよね。
露伴先生は珍しく、最後まで口を挟まないで僕の話を聞き終えた。
「・・・なるほど。つまり君は、僕の『ヘブンズドア』で、イタリア近辺の言語を理解できるようにしてほしい、ということか」
だけど、僕が用件を切り出す前にさっさと結論を出してしまうのは、いつもの露伴先生らしいよね。
推理は見事あたってるけど、さ。
「しかし・・・承太郎さんもどうせなら、僕に頼んでくれたらよかったのに。イタリアなら僕はよく旅行に行ったことがあるし、日常会話程度なら言葉も理解できるんだよ。もちろん『ヘブンズドア』に頼らなくてもね」
───それは初耳だ。
でも言われてみれば部屋の本棚には、イタリアに関する本が結構ある。中には英語読みじゃ読めないタイトルの本まで。あれって、イタリア語で書かれてたりするのかな?
「もっとも、僕は他人とコミュニケーションしろ、なんて死んでも嫌だからね。・・・よく分かったよ。ほかならぬ親友の頼みだ。僕の『ヘブンズドア』で、イタリア近辺の言葉を理解できるようにしてあげよう」
・・・何だかあっさり引き下がったなあ、と思ったのは考えすぎだろうか??
でも、せっかく引き受けてくれたんだから、早速書いてもらった方が良いに決まってる。
「じゃあ、お願いします」
再度頼むと露伴先生は小さく頷いて、紅茶のカップをテーブルに置いた僕に向かって、スタンド能力を発揮させた。
「ヘブンズ・ドア!!」
『ピンクダークの少年』に似た少年が、目の前に現われたかと思うと同時に、すうっ、っと意識が薄れ。
───気がついたら僕は、ソファーで寝そべっているところを露伴先生に真上から覗き込まれていた。
「終わったよ。とりあえず、イタリア語の理解度を試してみるかい?」
言って彼が差し出したのは、さっき見た『英語じゃないタイトルの』本。
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11月12日(月)
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