ID:38841
ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■Darling(5)SD・流×彩?
「・・・体力が、ないってことスか」
苦々しい流川のその口調は、常日頃彼が気にしていることの表れだろう。
「まあ、体力不足もその1つよね。でもまだまだ技術不足とか、ディフェンスがなってないとか、傍から見てると色々見えてくるものなのよ。ただ・・・今日の場合、あんた体力配分ってもの、してなかったように思えるのよね」
「?」
「・・・あんた、結構ムキになる性格でしょ?」
「!」
何故か流川は目を見開いた。何で分かるんだ、と言いたげに。
「だってさ、向こうの3年にブロックされた時、後で自分にボールが渡ったらまたその選手に挑もうとしてたじゃない。あー言うのって、相手の思うつぼだと思うんだけど」
「・・・もう1回やれば負けねー、そう・・・思ったから・・・」
負けず嫌いのセリフに、ついつい彩子も苦笑を誘われる。
「気持ちは分かるけどねえ。それじゃあ攻撃パターンが相手に読まれちゃうわよ。今度対戦する時にまで、リベンジはお預けにしておきなさい。必ずしも試合中に決着をつける必要は、ないと思うわ。・・・だからキャプテンも交代させたんじゃないかしら。あんたの頭を冷やすためにね」
「・・・そースか・・・」
流川はそう応えただけだったが、多分彼の心の中にはいろいろな葛藤が入り混じっている最中なのだろう。そう思って彩子は、それ以上彼に話し掛けようとはしなかった。
あとは、彼がどうするか、の問題なのだから。
結局、富ヶ岡中は点差をあれ以上縮められることなく、競り勝つことができた。塚本が出場できないと分かった時は沈んでいた空気も、今は明るいものになっている。
彼なしでも自分たちはやれるんだ───そう、自信づけられたから。
そしてその最大の功労者は、と言うと、送迎バスの一番後ろの席で、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。彩子の肩にもたれかけながら。
「・・・ご苦労さん」
その屈託のない寝顔を見ているうちに、いつの間にか眠りに誘われてしまう自分を感じる彩子。
ちょっとだけ、ね。
またすぐに、起きるから・・・・。
そのまま流川の肩に寄りかかるように、彩子は静かに目を閉じた。
≪続≫
11月02日(金)
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