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ちゃんちゃん☆のショート創作
by ちゃんちゃん☆
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■そして始まる日々(2)JOJO 広瀬康一
不安そうな早人くんの目に見つめられ、僕は一瞬たじろいたけど。でも言ったんだ。
「母親ってね、見てないようで案外子供の事をよく見てるもんなんだって。だから早人くんのお母さんも、君のことが見えていたんじゃないのかな? 理由は分からないけどお母さんの顔を、辛そうに見ている君の事を。・・・だから、君のためにも外に出る事を決心したんじゃないかな?1人の母親として、ね」
半分はすがりつくような思い付きだった。早人くんを何とか慰めてあげたくて。
だけど口に出して話しているうちに、僕は案外自分が真実をついているんじゃないかって、思い始めたんだ。
子供が悲しそうな顔をしているのを見たい母親なんて、いないと思うから・・・。
早人くんは、しばらく呆然として黙っていた。
だけどそのうちに、ぽろぽろと涙を流し始めたんだ。
ちょっとマズかったかな? と思ってオロオロしてたら、早人くんは涙ににじんだ声で僕にこう言ったんだ。
「ありがと・・・僕、そういう言葉を言って欲しかったみたいだ・・・誰にでもいいから・・・」
その言葉に、僕ははっとした。
早人くんはずっと独りぼっちだったんだ。誰かに欲しい言葉を言ってもらいたくて、だけど誰にもすがる事が出来ない、可愛そうな子供だったんだ。そしてそんな心を抱えたまま、ずっと苦しんできたんだ・・・。
「あの、さ、今度一緒に遊びに行かない?」
ひとしきり泣いて落ち着くのを見計らって、僕は早人くんにそう言った。
「え?」
「僕だけじゃなくてさ、仗助くんとか億泰くんも一緒に。きっと気晴らしになると思うよ。言いたいことがあっても、僕らになら話しても大丈夫だし、さ」
僕の言いたいことが分かってきたのだろう。早人くんの目に明るい光が輝き出す。
「うん! 行きたい!」
そう答えた早人くんは、なんの曇りもない笑顔を僕に向けたのだった。
「へー、結構カッコイイこというじゃねーか、康一」
早人くんが走り去るのを手を振って見送っていた僕に、後ろから仗助くんが声をかけて来た。
「仗助くん!? み、見てたの? やだなあ、声かけてくれたらよかったのに」
「いやー、別に盗み聞きする気はなかったんだけどよぉ・・・」
仗助くんは少しバツの悪い顔をして、ごにょごにょと口の中で何かを言っていたけど。
「・・・・良かったじゃねーか」
結果的には、そうとだけ言ってくれた。
(続)
09月06日(木)
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