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衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■個人の感想です。
尿道再形成の手術後はじめて自転車に乗ったらば、直後にルビーを溶かして液体にしたかのようにきれいな赤色の血尿が出てしまった衛澤ですこんにちは。会陰部を圧迫したために形成した尿道が身体の中でどうにかなったんですかねえ。お医者に診て貰おうにも世間さまはお盆休みでどうにもなりません。仕方ないねあはは。
さて、久し振りに小説の新刊を買いました。ここ数年は学生時代などに読みたかったけれど経済的理由により(「お金がなかった」もこう言うと恰好いいよネ)入手できなかったり買ったけど手離さなければならなかったりした過去作を買うことが多くて、新刊を買うのは漫画に限られていました。久々に買った新刊小説は何とライトノベルです。
いえ、私は「ライトノベル」の定義をよく判っていないのですが、書評などを見るとそのように書かれていたりするので、きっとそうなんだろうと思っていますこの作品は、ファミ通文庫から出ています森橋ビンゴさん作「この恋と、その未来。―一年目 春―」です。
どうしてこの小説を読もうと思ったかと言いますと、私をご存知の方はすっかりお判りかと思いますが、主人公(少年)が恋をする相手が「心は男性だが身体は女性」の人、いえ作中にはっきりと書かれております「性同一性障害」の人だからです。
これまで「性を越境する人」が登場する創作物というのは結構沢山あり、西暦も2000年を過ぎた辺りからは「性同一性障害」という単語で当該人物を表す作品もちらほら現れてきました。そのすべてではありませんが、私もそういった作品には目を通すようにしてきました。
何故かと言いますと、世間さまが性同一性障碍とその当事者をどのように捉えているのか、ということに興味があるからです。作中でどのように描写されているのか、気になります。あまりに大きな誤謬が含まれているなら、それを読んだ当事者でない人が間違った智識を得てしまいますし、そういった場合には抗議なんかもしないといけなかったりもします。
「現実と作品世界とは異なるのだから細けえことは気にすんな」という向きもおられるとは思いますが、世の中には現実と虚構を区別できない人がほんとうに(吃驚しますがほんとうに)、少なくない数いるのです。そういう人たちが間違った智識を得てしまわないようにしないと、現実世界にどんな不具合が起きるかも判りません。
そんなことを考えていますので、作者の方には大変申し訳ないのですが、純粋に作品を愉しむというよりもちょっと検閲っぽい読み方をしてしまいがちです。自分が性同一性障碍当事者であるということ、「多少間違っていてもいいじゃないか」と思えないことを一時でも忘れてしまえない自分は物語の読み手として哀しいな、とは自分でも思います。
では本編。
主人公の松永四郎少年は母親と姉三人に隷属するような人生を送ってきました。父親は健在ですが、滅多に帰宅することがなく、いないのと同じです。女性ばかりの家の中、中学校卒業の今日まで母や姉たちに虐げられて暮らしてきました。あまりにつらいので、高校は遠方かつ全寮制の学校を受験し、合格して晴れて実家から出て学生寮に入寮します。
学生寮では二人一ト部屋が与えられます。四郎の同室の少年は「端正な顔立ちで背も高くスタイルはまるでモデルでもやっていそう」な感じ。端的に言うと「イケメン」です。名を織田未来と言います。
しかし入寮早々に校長室に呼び出されて聞かされた話では、未来は「性同一性障害の診断を受けている」、つまり「体は女性だが心は男性」。このように聞かされはしたがこれを他に一切洩らすな、この秘密が守られるように協力せよと言われます。
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08月13日(水)
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