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衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■自転車の。
故あって、ずっと続けていたトレーニングを一年ばかり休んでいた。今日、それを再開した。軽いウォーキングなどはできる限り行なっていたがそれでも随分身体の各所は衰えてしまっているので、使用するウエイトは軽めにして、メニューも少なめにした。エアロバイクも、一生懸命漕がないでのんびり音楽を聴きながら、本を読みながらにした。

字の本を読むのも久し振りだ。故あって文章が書いてある本が読めない時期が続いていて、読むものは漫画に傾いていた。ひどいときは漫画も読めなかった。
エアロバイクを漕ぎながら拝読したのは高千穂遙先生の「自転車で痩せた人」、昨年末辺りに書評か何かを読んで買い求めたが読めないまま積ん読本になっていたものだ。

高千穂氏についての逸話は一九八〇年代には当時購読していた雑誌などでよく見聞きしていて、バイク乗りであることは私も知っていた。しかし、一九九〇年代に入ると私のSF離れもあって、氏について聞き及ぶ機会はぱたりとなくなった。「自転車で痩せた人」で二〇年振りの再会である。
二〇年の間に、高千穂氏は苦境を越えておられた。

「十二年ほど前のことだろうか。四十代になったあたりだ。
 体調に異変が生じた。
 頸椎と腰椎の椎間板ヘルニアを発症した。首に負担のかかる([引用者註]バイク用の)重いヘルメットの使用を禁止された。(中略)肺の良性腫瘍が見つかり、人生初の入院、手術というものを経験した。」

「血液検査の数値が、予想外に悪くなっていることがわかった。
(中略)
 コレステロール値が高い。血圧も高い。体重は八十四キロで、体脂肪率は二十四パーセント。ウエストまわりは九十センチ近かったんじゃないかな。
 生活習慣病の一歩手前と診断された。いや、もう片足くらいは入りこんでしまっていたのかもしれない。」
          (「自転車で痩せた人」二〇〇六年刊、P24〜P25から部分抜粋)

前半のヘルニアや腫瘍はさいわい私にはないが、後半の血液検査の数値や体重過多、体脂肪率過多、生活習慣病一歩手前、これ等は四〇代目前の私が直面している危機そのもので、文中の高千穂氏はまさしくたったいまの自分であると思えた。
一年ばかりトレーニングを休んでいたと述べたが、その故とは体調不良だった。原因不明の倦怠感……倦怠感というにはあまりに重々しい、自重が支えきれずに床に伏せった状態から自力で起き上がれないという時期があり、医者にかかっていた。その倦怠感の理由は多血症であるとか糖尿病の予兆であるとか、幾つもの仮説は立ったが、何れも正解ではなかった。この原因や病名は、動けるようになったいまも判らないままだ。

一年のほとんどを寝込んでいたため、体重は増え、筋力は衰え、特に運動をする訳でもない日常生活の中でも実に動きづらい。たまにウォーキングに出ていても三日も寝込めば立ち上がることさえ簡単にはできなくなるほど足は弱る。
人の身体は、意識しようとすまいと、毎日少しずつ衰えている。
その衰えを少しでも少なく遅くしようとずっとトレーニングを続けていた。体力、筋力の衰えは、怖い。
血液検査の結果一覧で多くの項目が危険値を示しているのを見たからなお更だ。

しかし今日拝読した「自転車で痩せた人」には、希望が示されている。四〇歳になろうと五〇歳になろうと、遅くはない。きちんと自分に合わせて整えられた自転車に乗り、それを習慣にすれば体質改善、生活改善は可能であると、高千穂氏は件の書の中で述べている。

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03月04日(木)
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