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衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■貴志駅取材。
某紙のコラムのための取材に出掛ける。今日の取材先は和歌山電鐵貴志川線貴志駅。テレビやインターネット上のニュースで御覧になり御存知の方も多いかと思うが、これまで無人駅だった片田舎の駅にちょっとめずらしい駅長が誕生した。

貴志駅は貴志川線の終着駅。貴志川線は和歌山市内のJR和歌山駅構内に始発ホームがあり、隣りの紀ノ川市貴志川町まで走っている。その一番端っこの駅が貴志駅だ。海に面した和歌山市からもう少し山間へと入った、苺の産地としても蛍の観賞地としても有名な町である。

貴志駅の様子
貴志川線には和歌山駅から貴志駅までに一四の駅があるが、そのうち和歌山駅から九ツめの伊太祈曽駅までは一五〜二〇分ごとに電車が到着するが、それ以降、貴志駅までの五ツの駅は三〇分に一本の間隔でしか電車は止まらない。
貴志駅はその最終着駅である。

貴志駅の次の駅はありません
このひっそりとした無人駅に、今年はじめに駅長が就任した。その名も「たま」駅長。
これがたま駅長御近影。とてもきれいに柄が入った三毛猫である。

たま駅長
御覧の通り、たま駅長はかなりお疲れ気味。というのも、今月はじめに貴志駅長就任の報が全国にテレビやインターネット上のニュースを通じて伝わって以来、たま駅長に会おうと全国からファンがやってきて、その対応に大わらわなのだ。
たま駅長は人懐っこい性格で、撫でられるのも決して厭がらない。だが、写真を撮られるのはどうにも苦手でストレスがたまりがちだそうだ。もしも貴志駅までたま駅長に会いに行くことがあったとしても、カメラでパシャパシャやるのは、できるだけ控えて差し上げた方がいいだろう。

たま駅長の執務室
いまの季節は寒いので、たま駅長は暖房が効いた駅長室に詰めておられる。しかし、会いたいというファンがやってきたり、写真を撮りたいというファンや取材陣が来たときには寒いけれど駅長室から出なければならない。多少気の毒だ。

たま駅長の御世話をしている貴志駅売店の店主氏の御話によると、たま駅長就任の報が出てからというもの、遠方からも駅長に会おうと大勢の人が押し寄せ、遠くは国内では札幌、国外からはオーストラリアからもやってきた人がいるという。
そして、直接会いに来られない人は贈り物を送ってくれるのだが、これが困りものらしい。

たとえば、キャットフードを送ってくれる人がいるが、これはたま駅長の体質や好みに合わないものがほとんどなので、持参や送付は控えてほしいとのこと。食べるものやおもちゃなどはかかりつけ医や御用達の店等の世話があるので充分だから、お気持ちだけお受け致します、と店主氏の御話。

また、事前に調べてこないのか判っていながらやってくるのか、日曜日に訪れる人がいて困っているとのこと。毎日毎日沢山の人がやってきて対応に大変で、たま駅長やミーコ助役、ちび助役も大変お疲れの様子。人間だって一週間に一度くらいは休まないとバテる。ネコの駅長さんともなればなおのことだ。日曜日はたま駅長も貴志駅売店も休業日である。週に一度の休業日くらいはゆっくりお休みさせてあげてほしい。

また、店主氏に「動物を使って売店の売上を伸ばそうと企んでいる」などと心ないことを言う自称動物愛護家も中にはいるらしく、店主氏は心を傷めている。店主氏はほんとうにたま駅長やミーコ助役、ちび助役が大好きで、駅長たちが安心して地元に住んでいられるためにも、赤字線である地元唯一の鉄道貴志川線のために貢献できれば、との気持ちから和歌山電鐵からの就任依頼に応えたとのことだから、店主氏やたま駅長たちの心労を増やすような風評を流すようなことは決してしないで頂きたい。

たま駅長バッジ

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01月29日(月)
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