ID:38229
衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
[134345hit]
■熱暑の中を。
大阪府八尾市に住んでいる友人がぼくが住む街まで遊びに来てくれた。交通手段は何と八〇tのスクーター。八尾市は大阪府のほぼ中央東寄りにある街で、快速電車を乗り継いでもぼくが住む街からは九〇分程度かかってしまう程度に離れた場所だ。
彼は二時間かけてぼくの街に到着した。そして翌日早朝には同じスクーターで那智勝浦を目指して旅立った。那智勝浦は紀伊半島の南端から少し三重県寄りの場所で、ぼくが住む街から特急電車に乗ってもたっぷり三時間はかかる。
ぼくはその無謀とさえ言える行軍が、それに臨む彼が、うらやましかった。ぼくも旅に出たくて仕方がないのだ。けれどもいまはそうもしてはいられない。
でも、どうしても何かしたくてじっとしてもいられなくなって、ぼくはプチ行軍に出掛けた。
ぼくが住む街の南の外れには人工島がある。そこまで徒歩で行くことにした。片道一〇キロメートルある。
何を思ったのかぼくは午後二時過ぎという一日で最も陽差しが厳しい時間にサンダル履きで自宅を出た。そしてほぼきっかり二時間、日陰を横切ることもなく陽光に熱せられた道を歩き続けた。着いたら島の中にある娯楽施設でちょっと遊ぼうと思っていた。でも、実際に一〇キロメートル歩いてやっと着いたら思いのほか疲れていて、少し休んだだけでそのまま路線バスに乗って自宅最寄りのバス停まで戻ってしまった。
これだけ話すといったい何をしに行ったのかと思われるかもしれないが、目的地と定めた場所まで長い距離を歩ききっただけで満足できたから、ぼくとしてはこれでいい。
帰りのバスの中で何気なく足を見たら、くっきりとサンダルのかたちに陽焼けしていた。まるで塗料で塗り分けたようにくっきりはっきりと焼けていて、あまりに白いところと黒いところがすっぱり分かれているので、パンダかシマウマにでもなったような気になった。腰に付けていた歩数計を見ると一二〇〇〇歩余り歩いていた。
【今日の超低速】
スロー再生かと思うくらいにとても、とーってもゆっくりと自転車を漕ぐ老人を見掛けた。あんなにゆっくり進んでいるのに倒れない自転車操縦術は高度な技術だと思った。
08月15日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る