ID:38229
衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■ほう…。
例によってレイトショーで映画を観てきました。「戦国自衛隊1549」。前作「戦国自衛隊」は記憶にあるものの観てはいないし原作は半村版・福井版ともに読んでいないので先入観なしの観賞になります。
率直な感想は「如何にも角川映画」です。往年の角川映画シリーズが好きだった人なら観ても損はないかもしれません。それなりに愉しめます。
前作(半村良版)を基礎にはしていますが、ストーリイそのものを変えてしまっている(福井晴敏版)らしいので、前作を御覧になった人も試しに観てみるとよいかもしれません。
ただ、上映時間二時間ほどの映画に求めてはいけないことなのか、近頃の映画はみなその傾向にあるのか、御話の細かい部分が判りづらくて、かつ描写しておくべきことがされていないために基礎智識を持たない人には理解しづらい部分もあったりで、全体的に未消化という感じ。
これは原作を読むと解消されるのでしょうか。しかし、「ローレライ」(映画)と「終戦のローレライ」(原作小説)の例もあるしな……とちょっと後込みしています。でも、半村版と福井版を読み比べてみたいな、という気持ちもあります。
日本史マニア、戦史マニア、ミリタリマニアには少々もの足りないかもしれませんが、歴史ファン、自衛隊ファンには愉しめるものだと思います。つまり、マニア心をくすぐる細かい仕掛けはしていませんってことです。そういうところが「如何にも角川映画」って感じかな、と。
最新鋭の技術を駆使した迫力ある映像ですが、何もかもをCGに頼っていないところが偉いです。ちゃんと「特撮」を使っているんですよ! 邦画は特撮を能く使うのですから、そこをきちんとすれば充分に見応えがあるものができるのですよ。それを再確認させて貰いました。
ドラゴンロケット(榴弾)が装甲車に着弾して爆発する場面とか、回転翼機(ヘリコプター)が城郭に激突して城郭が崩落炎上する場面とか、CGと特撮を上手に合わせて使っていて迫力あるおもしろい映像に仕上がっていました。
しかし、やっぱり細かいところが気になる半端なマニア心が私にはありまして。
登場人物のほとんどが自衛官なのに姿勢があんまりよくなかったり挙手の敬礼があんまり上手じゃなかったり上官の命令が明確に発されていないのに各員三々五々行動開始してしまったりそんなのあってはいけないでしょ、とかいちいち思ってしまうのですね。
しかし、それの御陰(?)で、最終シーケンスにエキストラとして登場する現役自衛官のみなさんの常装の着こなしとか姿勢や挙手の敬礼のうつくしさにすばらしく感動してしまいました。この映画の一番の見どころはこの部分と、回転翼機のローターが駆動してブレード(回転翼)が空気を砕く音がドルビーサラウンドで迫ってくるところでしょうか。AH-1S(コブラ)よりUH-1J(ヒューイ)より、私はOH-1(ニンジャ)が好きです……陸上自衛隊の回転翼機の話です。
以下、ネタバレを含みますのでいつものようにあぶり出しで。これから観る予定の方はあぶり出さないように御注意願います。
的場一佐役の鹿賀丈史さんが私は好きでしてね。とぼけた役も二枚目役もエキセントリックな役もすべて違和感なくこなしてしまうけれど如何にも大物って感じがしないところがとっても好きです。
的場一佐はFユニットなる特殊部隊を統べていたが上層部からの命令によりFユニットは解散、そのまま第三特別実験中隊に改組されてしまい、人工磁場発生装置実験中に戦国時代に部隊ごとタイムスリップして、その時代で織田信長として生きながらえています。
その信長の衣装がなかなかエキセントリックでおもしろいデザインでした。ですから、的場一佐も戦国の世に信長として生きると決め、平成時代の戦闘技術を活かした部隊を編成して歴史再編成(世界征服?)まで目論んでいるのですから、最期はもっと衣装通りにエキセントリックで狂気に満ちた感じでもよかったんじゃないのかな、むしろ私はそういう展開の方が好きだな、と、その点少々残念です。鹿賀さんのそういう芝居を見たかったという希望も含めて。
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06月25日(土)
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