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衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■第九作。
という訳で(CM明けのように)、昨夜は劇場用名探偵コナン第九作「水平線上の陰謀(ストラテジー)」をレイトショーで観てきました。
「名探偵コナン」という作品は私にとってとても大切なもので、原作単行本はすべて揃えていますし、劇場用アニメーションは第四作(瞳の中の暗殺者)以降は毎年劇場で観ています。勿論劇場用第一作(時計じかけの摩天楼)〜第三作(世紀末の魔術師)はきちんとレンタルビデオ等で確認しています。
さて、原作連載開始十周年、劇場用制作開始から九年と長い付き合いになる「名探偵コナン」には強い思い入れがあるので、アニメーション制作スタッフのみなさまには半端なものをつくられては困ります。
ということくらいは制作側も重々承知なのでしょう、劇場用作品は毎作工夫が凝らされていて愉しめるものになっています。今作は、私は例年にない事前情報の少なさで観賞に臨みました。また、例年は公開初日か第一週の間に観に行くのですが今回は公開から約三週間と時間も経っていましたのでそれなりの期待感はありました。
で、初感。
コナン映画を御覧になったことがない方で「一度観てみようかな」とお思いの方は、今作はおやめください。観るかどうか迷っている方は、特段今作は観なくてもよいと思います。
一八〇〇円払ってまで観なくてはならないものではないでしょう。一年後くらいに讀賣テレビ放送網でノーカット放送されるでしょうから、それで御覧になってもよいと思います。
一ト言で言うなら「何もかもが中途半端」。
今作のタタキ(キャッチコピー)は「シリーズ初の二重(デュアル)サスペンス」なのですが、二重の一重ずつがあまりサスペンスフルでない上に二重になっていることで相乗効果があるかと言えば決してそうではなく、不完全燃焼気味。
全編通して観た印象は、第六作「ベイカー街(ストリート)の亡霊」(推理部分は凝ったつくりで愉しめるが「名探偵コナン」としてのできはよいとは言えない)、第七作「迷宮の十字路(クロスロード)」(推理部分はいまひとつだけど「名探偵コナン」として、ラヴストーリイとしてのできはすこぶるよい)、第九作「銀翼の魔術師(マジシャン)」(推理ものとしてのできはもう少しがんばってほしいところだが「名探偵コナン」のキャラクタがそれぞれに活きていて、またパニック・アクションものとしての劇場用作品の新たな可能性を生み出した)のそれぞれの「いいとこ取り」をしようとして失敗してしまいました、という感じです。
それから、絵が下手。いまどきのアニメーションに成り下がってしまったと言いますか。
ここ十年の間にアニメーションの「絵」は、きれいにはなってきているけれど同時に下手になってきていると思うのですよ。一見きれいなのだけれどデッサン間違ってるよ、とか、パース取れてないよ、とか、そういう感じです。しかし、そういう傾向にはまらないようにこれまで「コナン」スタッフはがんばっていたのですよ。なのに今作は原画から駄目。素人目に見ても下手さが判ってしまう。
人物の立体感がおかしい(みんな薄っぺらい身体をしていた)。パートによってキャラ崩れがひどい(白鳥警部が横溝警部に見えてしまう場面が頻繁にあった)。背景のパースがうまく取れていなくてせっかくの豪華客船の豪華さが半減。アニメーションの原点に還ろうとするかのようなコミカルな表現方法を多用していたけれど、この絵の不味さでそれが逆効果になってしまっていました。
舞台となる豪華客船「アフロディーテ号」の全景CGはとてもきれいに仕上がっていて迫力があっただけに残念ですね。
さて、以下はネタバレ含む重箱の隅つつきをあぶり出しにしています。これから御覧になる予定の方はあぶり出さないように御気を付けください。
OP部分は恒例の人物とその背景紹介なのですが、第九作になってはじめて少年探偵団の面々の紹介が入ったので、前作「銀翼の魔術師」のように元太、光彦くん、歩美ちゃんそれぞれが個性強く大きな役割を果たしてくれるのか、と期待していたのですが、何だそーでもねーじゃん。平次も名前は出ないのに姿が見えたし、この部分の構成の意図は何処にあったのか充分に探り出してみたいところ。
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04月29日(金)
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