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衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■ぼくは戦場の真っ只中にいて。
さて、ぼくが行ったのは上の写真の御城がある街。何をしに行ったかというと、この街の大学病院の先生に診て貰いに。眼を診て貰いに行ったのですが、御世話になったのは形成外科です。眼瞼下垂の治療の名医がここにおられるというので出掛けていったのです。遠くの、行ったことがない街に行ってみたいという気持ちも勿論あったのですが。
「眼瞼下垂」とは読んで字の如く、目蓋が下に垂れていること。目蓋を持ち上げる筋肉が伸びていたりして充分に眼を開けることができない状態を言う、らしい。これになると視野が充分に取れなくて危ないというだけでなく、額や頭の筋肉を使って無理に眼を開ける状態を維持することになり、それが原因で不安症状や鬱症状をも引き起こす、とのこと。年末に別件で眼科医に診て貰ったときに「あなたは目蓋が下垂しているから……」と言われ、そのときにぼくの持病である鬱病及びパニック障害と眼瞼下垂が結びつきました。
で、眼瞼下垂の治療で名立たるM医師がおられる大学病院まで出掛けた訳です。

三〇分ほどの診察の結果―――というよりは、ぼくの顔を見るなり、M医師は診断をなさいました。診断名は「眼瞼下垂及び痙攣」。
先程述べた眼瞼下垂は目蓋を「開ける」ときの障碍。ぼくはそれに加えて「閉じる」ときに使う筋肉が、開けるときにも閉じるときにもずっと緊張している状態で、それが副交感神経に作用して、心身ともに常に緊張している状態を保っているのではないか、ということです。M医師はぼくを一見しただけで「目蓋が痙攣するでしょう?」と仰いました。専門家には直ぐに判るものなのだなあと感心しました。
眼瞼挙筋やミュラー筋などの眼の周辺の筋肉が緊張していると鼓膜も緊張するらしく、「鼓膜の緊張度を測る機械」で測定して貰うと、ぼくの緊張度は常人のほぼ二倍。これは、戦場の兵士と同じ緊張を常に保っているということだそうです。

生命を落とさないように傷付かないように常に神経を研ぎ澄ませていなければならない戦場に配される兵士。その派遣期間は短いサイクルで切り替えることになっています。長期間の緊張状態は精神面に悪影響を及ぼすからです。そんな「非常な」緊張を、ぼくは一〇年以上も続けてきたのですね。そりゃあ精神面に異常が出てきて当たり前だ、刃物を振りまわして見知らぬ人を追いまわしたりしなかっただけ儲けものかもしれない、とぼくは思いました。
二年くらい前に或る街でそういう事件が起きて、それについて或る人と話したときに「ぼくだっていつ同じことをするか判らないし」ということを言うと相手の人は「そんなことがある訳がない」と返してきましたが、ほら、ぼくがそのときに言った通りに充分に可能性があったでしょう?
……と、私信めいたことをここで言っても仕方がないのですが、とにかく、先日の当頁で少し述べたように、ぼくはとにかく常に「我慢する」という選択をする癖がついていた御陰か、他人さまに対しても自分に対しても刃物を振るうということをせずに済んでいます。

「眼瞼下垂及び痙攣」はどのように治療するかというと、手術で治します。伸びてしまった眼瞼挙筋と緊張しすぎているミュラー筋を少し切ってやると自然に眼を開けられるようになって、そうすると副交感神経の緊張も取れて鬱症状の改善も期待できる、とのことです。「期待できる」のであって間違いなく治る訳ではないのですが、腹切りに海外まで行っておいていま更何を怖れることもないのでこの手術を受ける予約を入れました。半年後くらいにもう一度国宝の御城がある街に行って入院します。二泊三日で済むそうです。


【今日の矛盾する自己】
出不精だけど旅行好き。

03月31日(金)
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