ID:38229
衛澤のどーでもよさげ。
by 衛澤 創
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■よかったと思う……よ?
幹部を残して曹士以下を総員離艦させた「いそかぜ」の中で、真田広之さん演ずる仙石恒史海曹長はヨンファ一党と戦い、満身創痍になりながらも指揮権を取り戻し、「いそかぜ」からGUSOHなる化学兵器が搭載されたミサイルが東京に撃ち込まれる惨事を防ぎます。
この真田さんが恰好いいのです。流石JAC出身、基礎ができているので殺陣も安心して見ていられます。打ち合う(撃ち合う)場面だけでなく、攻撃されて転倒する姿も負傷して足を引き摺りながら移動する姿も見応えがあります。
真田さんの芝居が巧すぎて、ともに行動する如月役の勝地涼くんがかすんでしまっていて、ちょっと可哀想なくらい。
「いそかぜ」艦内での白兵戦が何度か見られるのですが、これが「戦国自衛隊1549」よりも本格的な近接戦闘なのですよ。
関節の極め方だとか逆の取り方、小物(ナイフや銃などの武器)の使い方が結構マニアックです。終盤の仙石VSドンチョル戦では何が起こったのか判らない人の方が多いのでは、というくらいのアクロバティックな戦術が取られていて、うっかりまばたきすると見逃してしまうくらい素早く決着してしまいます。うひー恰好いい……けど、見る人を限定しているな、とも思ったり。
最後にはヨンファはミサイルからGUSOHを抜き取り、手に持って露天甲板に向かいます。何故手に持って甲板に出たのか判らないけど。それを追う仙石がマストに上りその先で追い詰めたヨンファと対峙……護衛艦のマストの上で中井貴一さんと真田広之さんが格闘するのですよ、この画だけでどきどきしませんか! そんなのはぼくだけですか! とにかくゴージャス過ぎです!
この甲板上でのヨンファのターミネーター振りが素敵です。倒されても起き上がってくる。この怖さは中井貴一さんでなければ出せなかっただろうな、と思うほど。「プルメリアの伝説」がうそのよう(そんな昔の話を)。
このシーケンスで仙石は何度かGUSOHを抱えたヨンファを背中から銃撃するのだけど、そんなに近距離から撃ったら弾が躯幹部を貫通してGUSOHの容器に傷をつけてしまうぞ、というツッコミはしてはいけないのね。
でも、背中を撃たれたはずのヨンファがしっかり胸から出血していたし、やっぱり貫通したんじゃないですか。GUSOHを東京湾に撒き散らす一番の危険はヨンファではなく仙石だった、ということに。
さて、ヨンファを倒した仙石はGUSOHを確保し、その旨を衛星を通じて手旗信号でDAISに伝えるのだけど。
映画の構成を見てみると、仙石が「DAIS」という組織の存在をどうやって知ったのか、「GUSOH」という兵器の名を何故知っているのか、政府が航空自衛隊F2支援戦闘機を使って「いそかぜ」を撃沈しようとしていたことをどうして知っていて手旗を使ってまで伝達しようとしたのかが描写されていないのですよ。だから、一見「めでたしめでたし」に見えるけれど何だかすっきりしないのです。
更には「いそかぜ」は「舵が利かなくなって暴走」してしまい、その行手には火力発電所が……せっかくGUSOHを確保してもそこで爆発でも起こせばGUSOHは首都圏に撒かれることになってしまう。さあどうする!という展開に……って、舵が利かなくても機関を緊急停止させれば惰性がなくなったところで艦は止まるんじゃないの? 駄目なほど湾の奥に入り込んでいたっけ?
どうやって止まったかというと「偶然」としか言いようがないのですよ。宮津副長(寺尾聡さん)が、如月が仕掛けた爆弾の場所を知って(これもどうやって知ったのかが判らない……如月にカポック(救命胴衣)を着せたときにでも聞き出したのか?)、爆弾を銃撃(起爆装置を銃で撃ったからと言って爆発するのかという疑問は棚上げ)して艦を爆破しなかったら止まらなかった訳で。
それが仙石が海上自衛隊の回転翼機に救助された後だったから何とか「よかったね」と言えなくもありませんが、仙石と一緒にGUSOHが「いそかぜ」から引き揚げられたという描写もなかったので「爆撃されても同じじゃないか」という気持ちは拭えず。
仙石は「いそかぜ」を守ろうと一旦離艦しておきながら再度戻って戦ったのですが、結局「いそかぜ」は爆発炎上沈没してしまいます。
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08月07日(日)
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