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ドラマ!ドラマ!ドラマ!
by もっちゃん
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■歌舞伎に行ってみませんか?
 はっきりいって、何で気がつかなかったんだろう。今までもきっと観ているはずなのに。今はない大阪道頓堀の中座。ここで「関西歌舞伎を愛する会」という公演が7月に行われていた。主に若手(といっても年齢的には中堅か)の公演。これに孝夫が出るというので行った。「荒川の佐吉」である。もちろん、孝夫が佐吉親分。これもまた、中々に切ない物語である。佐吉の舎弟のような大工がいる。これが坂東八十助(当時)(現十代目坂東三五郎)だった。松嶋屋さんを観に行ったはずなのに、私の目はこの期待の大和屋さんに釘付けになってしまった。彼は、中村勘九郎と同年で仲良し。しかし、どうも彼は勘九郎のようにぱっとアピールするものに欠ける(あぁ、そうです、言いたかないけど、よく言う「華がない」ってやつかもしれません、でも現実にきちんと彼を見つめてればそんなことないんだけどね)。その上、小さい。彼自身、自分の仁(ふさわしいというか、身の丈にあった役、彼こそはという役のことをこういうらしい)を「まぁ、このくらいかな?」と考えその中でできる事を精一杯やるというふうであったらしい。松竹としても客の取れる人の中には入ってないのか、華やかな大役は、なかなかまわってこない(それで配役がまんねりになるので考えてほしいんだけど)。父の九代三津五郎(故人)という人しか実物の歴代三津五郎は見ていない。とても脇が上手い役者であった。どうも新三津五郎もその路線なのか・・・。
 しかし、彼は、継ぐべき日本舞踊の流派を持つ身。日舞の美しさ、正確さ、色気、解釈、指導、全て歌舞伎界でも、その上手さには定評がある。そして、声。口跡というが、声良し、台詞回し良し、役によっての間、良し。何より、仁にあわないからとあきらめていた役ですら、チャンスが巡ってきた時には彼はこなすのだ。大きく見せる技をもっている。そして何より努力、研究。声良し、踊り良し、姿良し、三拍子揃った八十助との出会いが、私の歌舞伎ライフを大きく前進させた。

★ミーハーでいいのだ★
 八十助はもちろん、他の役者さんもおっしゃいます。歌舞伎は最初の作品が肝心と。でも、もし退屈だったり、役者の好みのあわないものにぶつかっても、もう1度違うものでトライして欲しい。歌舞伎には色々なジャンルがある。荒事は嫌いでも和事は好きな方もいらっしゃるかも。反対もしかり。
 とにかく1度劇場へ足を運んでみてください。そして、何より一番いいのは、贔屓の役者を見つけること、これが歌舞伎への大きな一歩だと。かくいう私もその一人、八十助見たさに歌舞伎を見る。そうして、その人を見ていくうちに、作品の数も増え、知っている役者も増え、もう、あなたは歌舞伎のとりこになるかもしれません。
  
★堅苦しくないのだ★  
 さっき、スーパー歌舞伎が革新的って言ったけど、歌舞伎界全体が少しづつ変わってきている気がする。古典を継承しながら、無難な演目にかたよりがちな中、埋もれている作品を掘り出したり、彼らの世代で後に残るスタンダードを作りたいという考えがあったり、他の演劇とのコラボレーションも試みられている。
  
 普通の舞台と違って、全員揃うのはほぼリハーサルしかない。演出家そのものはいなくて、先輩の役者、座頭格の役者が狂言方というスタッフと舞台監督をする感じですか?(明治以降の作品には演出がつくこともある)先達の芸を常日頃盗み、日頃から稽古し、役が当たったら研究し、自分でもってくるの。すごいね。歌舞伎座などは、毎月公演。だいたい25,6日に千秋楽。翌月の初日は2日が多い。この4,5日の間に形にするためには、個々の練磨と、スタッフの情熱と、下座音楽や浄瑠璃方との息を、その期間であわせるまさにプロフェッショナルな仕事なのです!!

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01月24日(木)
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