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鼻くそ駄文日記
by iwa
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■夏休み企画12
 章二の母親はそう言った直後、鍋をかき混ぜていたおたまを取りだし、スープを飲むときのスプーンのようにそれに口をつけたのである。更に、その口をつけたおたまをまた、みそ汁を温めている鍋に沈めた。
 見てはいけないものを見てしまった。
 ぼくは一度に食欲を失った。
 家の母親はおたまを使って味見なんかしない。鍋におたまを入れて、味見をするぶんぐらい掬うとそれを小皿に入れて味見をする。そうすれば、おたまに唾液が付着することもなく清潔だ。ぼくはそのことを知っている。だから、母親の料理は信頼して食べることが出来る。
 外食だって、衛生の資格なんてものまであるぐらいだから、衛生面には気を使っているだろう。そう思って、何とか食べることが出来る。
 だが、章二の母親は衛生面に気を使ってないことを目の前で露呈してくれた。食器をスプーンに使うのが平気な人なんだから、目の前に並べられた鳥の唐揚げやほうれん草のおひたしもどんな味見をされたかわかったもんじゃない。そんな、汚いもん、食べられるかい!
 と思っても、親切心からごちそうしていただいている身分なので食べなければならない。
 だから、ぼくはよその家での食事は苦手なのである。そしてもちろん、そんな状態だからあんまり食べない。
 ちなみに、よその家の食事でぼくがいちばん苦手なのはおにぎりである。これだけは喰えない。
 よそのお母さんが、素手で握りしめたご飯粒の固まり。手にご飯粒が付いたらそのままぺろりと嘗めたことも容易に想像できる一品。あの味は他人の汗の味がして、吐き気がする。

08月26日(火)
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