ID:3398
へそおもい
by はたさとみ
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■つめたいかぜがふいたので
夜になったら
冷たい風がふいてきたので

金華山のことを
おもいだした。

20歳に
なるかならないかの頃
宮城県の海の近くに
ドライブにいった。

その頃は
仙台にすんでいたので
朝おきて

どこにいこうか?

なんて話していて

なんとなく
海をみにいこうか
ということに
なったのだとおもう。

車で走っていたら
急に視界がひらけて
海がみえた。

うわあー海だ。

目の前に広がる
海の真ん中には
ぽっかりと
島がうかんでいる。

あの島にいきたい!

地図でしらべると
その島は金華山というところで
フェリーで
簡単にいけるようだ。

わたしたちは
港に車をおいて
島をわたることにした。

島にわたると
鹿がたくさんいた。

神社と鹿と海が
そろっているので
厳島神社と似ているのだけど
鹿が野性的だった。

その年の夏に
ふたりで
厳島神社も旅したばかりだったので
鹿の違いについて
たくさん話をしたのを
おぼえている。

神社に参拝してから
金華山の山頂に登ってみることにした。

さむいさむい冬の真ん中。

山頂に登る人なんて
わたしたち以外
だれもいなかった。

森の中は
雪がうっすらとつもっていて
わたしたちは
底がつるつるの靴だったので
なんどもすべった。

道を見失いながらも
表示をたよりに
なんとか頂上にたどりつく。

わたしは
コアラみたいに
木にだきついた。

青い空と
どこまでも広がる海と
白い雪。

その風景に
偶然でくわすことになった
運命のすてきさ。

つめたい風にあたると
金華山をおもいだす。

金華山をおもいだすと
人生っていいもんだって
気になる。

わたしにとって
大切な
心の風景のうちのひとつ。
12月03日(月)
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