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to Die
by 293とうめこ
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■遅すぎる敏バ
とろとろとした微睡みの中から半ば無理矢理意識を上昇させ、硬く閉じた自分の瞳を少しづつ開けると、その部屋はまだ暗いままであった。
俺は目だけをきょろきょろと動かし辺りを見る。
見慣れていない見慣れた部屋。
よく来るけれど自宅ではない。
あぁそうだ、ここは…ここは敏弥の部屋だ。
自分の中で一つの答えがでる。
そうすると途端に意識が引き締まった。
「堕威くん大丈夫?」
右斜め下の方から声が聞こえる。
きっと敏弥が部屋の入り口に立っているんだ。
「んー…」
俺は小さくそう反応を返し、よろよろと上体を起こす。
敏弥はいつのまにか俺のそばに寄ってきていて、俺の背中をそっと支えた。
「無茶するから…」
支える背中から伝わる手のぬくもりが心地よい。
「やって……」
俺はその背中の熱に安心感を抱きながらそれだけ呟いた。
「堕威くんが俺の誕生日に頑張ってくれたのは嬉しいけど…ああいう事は時間をかけてやるもんだよ?のっけから最後までやっちゃうとか…無謀というか」
敏弥が俺の上半身を抱き寄せながら言う。
昨日は敏弥の誕生日。俺は敏弥に何が欲しいかきいてみたけど、敏弥は曖昧に笑うだけで明確な事を伝えてはくれなかった。
多分つい最近結婚式やら葬式やらが立て続けに執り行われ、しかもすべて遠方だった事により、俺の懐が寂しくなっていたのを知っていたからだろう。
俺にだって貯金は有るのに…
俺は憤りを覚えながらも敏弥のそういった優しさが嬉しかった。
だから彼に誕生日プレゼントを買うというのは不粋な様な気がしたのだ。
そこでどうすれば良いか考えた時。ふと思いついた。
俺と敏弥は、キスやエッチやデートはするけど、SEXはしていなかった。
敏弥が俺とのエッチが慣れたらちゃんとSEXをしたいと付き合いはじめに言ってきたのである。
そして今まで俺たちは最後までシたことは一度もなかった。
だがもう付き合いだして1年はとうに越している。
流石に俺もそろそろ良いだろうと思った。
だから昨日、誕生日プレゼントを渡すかわりに言ってやった。
『敏弥、俺とSEXせーへん?』
ドキドキした。顔が火照る思いがした。
敏弥はその言葉に目を大きく見開き、次の瞬間俺に深い深いキスをしてきた。
そこからベットになだれこみ、お互い奪いあう様にキスをしていつもの流れに傾れ込む。
はじめてのSEXは想像以上に痛くて、過激で、苦しくて、気持ち良かった。
多大なる質量に臓物を引きずり回される様な圧迫感に襲われているのに、身体は快楽に大きく揺れているのだ。
まさに未知の体験だった。
そのまま事切れる様に眠り今にいたる。
「本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫。平気とまではいかんけど…この痛みも愛おしいっちゅーかな?」
俺は敏弥におどけた顔でそう言う。
すると敏弥はギュッと俺の身体を抱きしめてきた。
敏弥の鼓動が早まっているのがわかる。
どくどくと早く脈打つその心音は、昨晩俺の中に入って来た質量と似ていた。
そうか、SEXとは心臓が体内に穿たれる行為なんか…
一番大切な臓器の発する鼓動を相手の体内へと穿ち、心身ともに一体になる。
SEXとはそういう行為なのかもしれない。
そう考えるととても神聖な行為に思えてくるからおかしい。
「堕威くん」
「ん?」
敏弥が呼びかけてくる。
「立てる?ケーキ有るんだけど、食べよっか?」
敏弥が子供の様な笑顔で尋ねてくる。
俺はそれに"おうっ!"とだけ返事をした。
そしてフラつきながらもゆっくりと自分の足で立つ。
敏弥に支えてもらいながらたどたどしく歩いてしまっているが、敏弥は根気強く俺を支えてくれる。
そこでふいに敏弥に言い忘れていた事があるのを思いだした。
俺を支える敏弥をつつく。
すると敏弥が不思議そうな顔でこっちを向いた。
俺はその顔ににっこり笑いかけ、こう言う。
「敏弥、誕生日おめでとう!!」
敏弥が、瞬間面食らった顔になる。
しかし、すぐに元の笑顔になり、俺の頬にキスをした。
「ありがとう、お姫様」
キザな台詞、あまり好きではない。
でも、今日みたいな特別な日やったら…、良いかもしれない。
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04月30日(日)
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