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to Die
by 293とうめこ
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■好き
薫は俺より先に出かける時に必ず書き置きをする。
それにはだいたい、ごはんを温めろだとか洗濯物をしまえだとか書いてある。
『お味噌汁はお鍋の中、あと卵焼きと納豆と鮭が冷蔵庫に有るで。あっためて食べぇな。アイロンがけと不燃物のゴミ出し頼むな。』
これが今日のメッセージ。
いつも律儀やなぁと思う。
俺はこういう事したことない。
薫くんは仕事がなくても俺と一緒に起きるから。
一緒に起きた時は二人でご飯を作る。
って言っても俺は納豆皿に出したりごはんよそいだりするだけやけど。
俺は書き置きされたわら半紙をひらりとひっくり返して裏を見る。
薫くんは書き置きの裏にもメッセージを残す。
それは毎回同じ内容。
今日も代わり映えしない文章がぽつんと一つ残されていた。
愛してる。
たったそれだけ。
彼は毎回こうして紙の裏で愛を囁くのだ。
俺はフッと笑みをこぼす。
「毎回よーやるわ…」
そうは言うものの嬉しくて仕方ない自分が居る。
俺は書き置きを持ったまま自室に戻る。
そして自分にはとても不釣り合いなオルゴールを棚から取る。
落とさない様に、そっと。
蓋を開けると同じ紙が何十枚も入っている。
俺はそれの上に今日の書き置きを入れる。
そして数分その束を見つめ、蓋を閉めて元の位置へ戻した。
薫は知っとんかな?俺がこんな事してるん。
ちょっとした秘め事みたいで俺は嬉しくなった。
こうやって俺の一日ははじまる。
一人でいてもこんなに俺を心地よくしてくれる薫。
そんな彼への思いを俺は小さく呟く。
「俺も愛してるで」
小さく小さく。
そしておもむろに意気揚々とキッチンへと向かった。
薫の用意した朝食を食べるために。
アイロンに不燃物のゴミ出しもせなあかん。
ついでに掃除もしようかな。
で、帰ってきたらお帰りのキスをしてちゃんと言ってやったろ。
俺も愛してるって。
END
03月08日(水)
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