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to Die
by 293とうめこ
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■心バ
俺の恋人はほっぺたをぷっくりと膨らましてそっぽを向いている。
俺の恋人はそっぽを向いて体育座りをしている。
俺の恋人は体育すわりをして前後にゆらゆら揺れている。
その姿は可愛くて、いつもならちょっと放置してまうんやけど…
今日はそうも言っていられない。
あと数分で俺の誕生日。
その数分で彼のご機嫌を取らなくてはならないのだ。
「堕威くんこっち向いて」
「……」
しかし彼のご機嫌を取るというのはなかなかに難しい。
「堕威くん、ごめんな。悪かったと思ってるから…」
オレはそっぽを向き続ける堕威くんに近付き肩に触れる。
堕威くんは一瞬ぴくっと身体を揺らしたが、それ以外のアクションを起こそうとはしない。
「ほんまごめんって」
そのまま俺は堕威くんを精いっぱい抱きしめた。
「……いたい」
力が入り過ぎていた様だ。
堕威くんの言葉に俺は力を抜く。すると彼はくるりと振り返ってくれた。
俺はそれにホッと胸をなで下ろす。
しかし安心するにはやはりまだ早い。
「俺のプリン…すっごい楽しみにしてたんに…」
食べ物の恨みはやはり恐ろしいものなのか、堕威くんは俺を睨みつけてくる。
「ごめんって…今度また買ってくるから…やから堪忍して?」
本当にすまないと思っている。だから俺は精いっぱい謝る。
これが敏弥とか薫くんとか京くんだったら無視するんやけど、彼には逆らえんねん。
「今度は嫌や。今すぐがええ!」
そんな堕威くんのこの言葉に流石の俺もちょっとカチンッとくるものが有ったけど、今晩を楽しく過ごすためにはこんな事でキれていてはいけない。
「わかった。行ってくる」
俺はそう言うと財布と上着を素早く取って鍵も閉めず、靴を履くのもそこそこに家を出た。
マンション選びをする時に駅とコンビニと本屋とCD屋が近くに有り騒々しくない場所という立地条件で探したのはよかった。
コンビニはマンションの隣にある。
俺は非常階段を駆け降り、裏の扉から出ると急いでコンビニに入った。
そう広くもない通路を通り抜け、一番奥に有るクーラーの二段目にそれは有る。
プリンは有名なメーカーのもの。コンビニ限定でも100円以上するちょっと高めのものでもない。
プッチンして食べれるあれだ。
俺はそれをレジに持っていき、財布から150円出す。
「おつりいらないから」
そしてそう言いもと来た道を戻る。
そうしてようやっと玄関前に辿り着いた時点で俺は一度足を止め時計を見た。
時刻は11時59分
何とか間に合った…そう思い扉を素早く開ける。
そして靴を脱ぎ散らかしながら室内にあがろうとすると、ふいに俺の身体を前方からギュッと抱きしめる感覚。
ふわりと漂ってくる煙草の香りは愛しい彼のもので…
「堕威くん…?」
俺はいきなりの事に間抜けな声を出す。
ピピッピピッピピッ
腕時計が12時が来た事を告げる。
「お誕生日おめでとう、あと怒ってごめんな?」
先ほどとは打って変わって堕威くんはしおらしい。
俺はその変わり様に驚き、二の句が継げない。
「心夜…おこってる?」
俺が黙っているのを悪い方向にとらえたのか、彼は不安げに覗きこんできた。
堕威くんの顔が至近距離に有る。
俺はそんな彼に衝動的に軽いキスをする。
「怒ってへんよ。ちょっとびっくりしただけ」
俺は堕威くんに笑ってみせた。
彼はそれあからさまに安堵の表情を浮かべる。
「中入ってや!見せたいもん有るん!」
そして一気に表情を明るくしたかと思うと、弾む声音でそう言い一人で先に中へと入っていってしまった。
俺はそんな堕威くんの後に続く。
「見てや〜♪」
中に入ってみるといつも俺が座る場所には大きなキャラクターぬいぐるみが鎮座していた。
俺はそれに面食らう。
ぬぼーっとした顔の犬のぬいぐるみで、堕威くんはそのぬいぐるみの間に座ってにこにこしている。
「こんなおっきいぬいぐるみやん?持って歩いてたらばればれやろー?やからどうやって下の物置きから持ってあがろうか悩んだわー。心夜には悪いけど怒ったふりさせてもらったん。名演技やったやろ?」
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03月05日(日)
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