ID:31657
to Die
by 293とうめこ
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■堕ちた白鳥
そこは美しい宮殿の中
天井や壁には国内随一の絵師に描かせた神の世界が広がっている。
しかし、彼にはそんなものどうでもよかった。
そして地位も名声も
そんなものは本当に彼にとってはどうでも良いものであった。
彼は身を銀の甲冑に包み隠し、幾多もの敵軍を滅ぼした。
”戦の申し子””戦線の刄”
他人からはそう呼ばれている。
しかし
やはりその様なものも彼にとってはどうでもよかった。
「・・・顔を上げよ」
彼の前には少年王が仰々しく座っている。
彼が頭を上げると、紫の髪が背からするりと落ちた。
周りにいた女達はそれを見るだけでほぅっと溜息を吐く。
「今回の戦でもお前は鬼神の様に戦った様だな」
少年王は嘲りの顔で彼にそう言う。
彼は無言だ。
「・・・・褒美をやろう、それと、地位も。」
少年王はつまらなそうにそう言うと、下がれ!と彼に言い、自分はさっさと自室へ戻ってしまった。
「・・・王様また薫様を責めてらっしゃったわね・・・」
「ほんと、国のタメに戦ってくださってるのに!」
王が去った後、かしましい女達がこそこそと喋りはじめる。
薫はそれに耳を傾けるわけでもなく、広間を後にした。
一人廊下を歩く。
足早に
はやく はやく はやく
あの人に会いたいから・・・・・・・・
「薫様!!!」
その時、彼を呼び止める声
幾分か幼さの残る声だ。
「薫様!昇格おめでとうございまし!!」
声の主は彼を恋慕う少年王の姉であった。
「あの子がまた貴方を責めたそうね、ごめんなさい・・・まだ子供だから・・・」
そう謝り、彼の顔を見つめる。
「・・・・・王の姉上様とあろう人がこんな所で一人でおられてはいけませんよ」
しかし、彼はそんな彼女をあからさまに拒絶する。
彼女はそれを聞くとビクッと体を硬直させ、顔を俯けた。
「誰か、誰か居ないのか?」
彼が大声で叫ぶと、一人の次女が小走りで出てくる。
彼は”王女をお部屋へ・・・”っと言うとさっとその場を去ってしまった。
彼は急ぐ、あの人の元へ
彼は急ぐ、会いたいから・・・
そこは、城の中でも格別に美しい場所であった。
彼にとっては・・・・・・・・
「・・・・・・・堕威・・・・」
彼が唯一名を呼ぶその人は
「薫?」
隔離される様に城の高台の天窓の部屋で毎日を過ごしていた。
「薫、今日は遅かったな・・・・どないしたん?」
幼い仕草でそう問うその人に、彼は恋をした。
元は戦場で共に戦う勇士だった。
兜を取り、風に髪をなびかせるその姿は
絵画のジャンヌ・ダルクよりも美しく、心強いものであった。
しかし、今のその人は心を病んだ子供であった。
彼はその人をそんな姿にした奴らを今も恨み、唯一人、毎日その人を見舞っている。
彼はその人をギュッと抱き締めた。
「堕威・・・・いつかこの部屋から出したるからな・・・・」
「お外・・・いける?王様許してくれる?」
その人は抱き締められたまま笑顔をたたえていた。
そこは美しい牢獄
ぬいぐるみは手枷となり、ふかふかベットは懺悔の印
壁画は皮肉にも天使達が踊い、あざ笑っている。
その中で笑うその人は
捕らえられた白鳥の様に儚く美しく見えるのであった。
END
(>3<)(*>∨<*)(>ε<)
あー、もう毎回勢いまかせな小説でごめんなさい。
02月01日(日)
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