ID:31657
to Die
by 293とうめこ
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■訣別 漆ノ伍

歯車が狂う

それはふいに起こる事

歯車が狂う

小さな出来事だけれども、

一つ狂えばすべてが狂う

歯車が狂う

しかし

歯車が・・・・・・・

それは手送れではないのだ


直る・・・・・・・・




訣別 漆ノ伍



「さむっ・・・・」

しんしんと辺りに雪が降る。

あたりはクリスマスという事も有り、カップルが目立つ。

その中を堕威は人待ち風情でいた。

「遅いな・・・・」

チラチラと腕時計を見ながらも、堕威の表情は嬉しそうだった。

「だいっ!!!」

遠くから自分を呼ぶ声

「!キサキさん!!」

堕威は息せききって走って来るその人に対し、笑顔を見せる。

どうやら堕威の待人は彼だった様だ。

「ごめんっ!めっちゃ待たせたかも!はー!あのインタビュアー必死でインタビュー伸ばそうとすんねんで!?」

キサキは服の裾をバタバタと仰ぎながら堕威にそう愚痴る。

「んふっ!だって今急成長中のうちのバンドのリーダー様やで?腕離したないんわかるわ!・・・・・俺も・・・・な♪」

堕威はキサキにそう言って笑うと、ギュッと腕を抱きしめてはにかんだ。

キサキはそんな堕威に目を細める。

「堕威・・・そないされたら俺襲いたぁなるねんけど・・・・」

そしてにたにた笑顔で堕威にそう嘯いた。

「!!・・・・・・・・・・・・・・えっち」

堕威は一瞬目を見開き、そのまま恨めし気な顔でそう言ってくる。

キサキはそれに満面の笑みを浮かべる。

堕威も笑顔に戻り、しばし二人で笑いあった。

そのまま二人は小さな肉屋へ。

「お金無いねん!おばちゃんっ手羽先二つ!!」

「ほほほほっ!兄ちゃんら派手な頭してそない言いいなぁ!」

「おねえさん!美人やけんとうぜんおまけしてくれるんやろ?」

「まぁっ!!もーしゃあないなぁ!おまけ2本追加しといたるよ」

「「おおきに!!」」

肉屋を出た後はケーキ屋。

「やっぱ苺のショート?」

「やろっ!おねーちゃんっ!イチゴおっきん2つちょーだいv」

「くすくす・・・もーお客さんおもろいなぁ!マドレーヌも2つ付けたるよ!」

「ほんな!?おおきに!!」

イチゴのショートとマドレーヌ

そして4本の手羽先

凄く少ないけれど

二人にとってはとっときのごちそう。

「堕威くん、家ろうそくとか有る?」

「あっ無い!!」

堕威はケーキを眺め哀しそうな顔

「仏壇蝋燭は流石になぁ・・・・」

二人は渋い顔をしながら、堕威の家へ付く。

でも帰ってみると、そんな事はまったく気にならなかった。

冷蔵庫からビールを出し、お皿に手羽先と、

有るもので作った料理。

ケーキとマドレーヌは冷蔵庫。

「メリークリスマス!」

「メリークリスマス」

コンッとグラスをあわせ、一気にビールを煽る。

お互いに上唇に泡を付け、笑いながらご飯を食べた。

たまにじゃれあったり、TV番組に文句を言ったり。

終盤に開けたケーキには小さなロウソクが2本ちゃんと付いていた。

ケーキ屋の女性店員の計らいだろう。

キサキと堕威はそれを見てお互いにええ人やね・・・っと微笑む。

お互いのケーキにロウソクを刺しあい、

マッチで炎を灯す。

電気も消し、しばし、二人でその炎を見つめていた。

儚い灯火はどこか幻想的で、寒いこの部屋を暖めてくれている様だ。

そのままフッと息を吹きかけ、部屋を闇が包む。

堕威は、そのまま部屋の明かりを灯そうとして・・・・・止めた。

目の前に佇むキサキの姿が、段々と闇に慣らされた視界に浮かんでくる。

彼は堕威をジッと見つめていた。

堕威もそれを見つめ返す。

「何・・・?そない見つめんでや・・・」


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12月28日(日)
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