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マシンガン★リーク
by 六実
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■僕のあけびをむいてくれ
いろいろ収拾しなくちゃいけないものもあるんですが、とりあえず、できたものから提出します。
タイトルどおり、ファントム観劇感想です(え?どこがタイトルどおり?)(まあいつものことだ)
[花組メモ:壮キャリエールの話]
ぎりぎりねじこんで行ってきました、ファントム。そう言えば前回のファントムもしごとまつりで行けなかったな……そのときと今のお客さん一緒だな、とかそういう符号はさておき(笑)。
幕開けの「エリック・7歳」にも驚愕したのですが、まずは壮マト部(壮一帆部創部準備委員会)としては、まず壮キャリを語っておきたく……いや、壮キャリが予想の斜め上をいく仕上がりでね……
さて、前段として。初演しかみていない「ファントム」ですが、私はあまりこの作品が好きではないです。もっというと、キャリエールが好きじゃない。あの銀橋の場面が感動する場面として出てくる度にずっとひっかかっていたくちです。
「お前はすばらしい歌手になれたはずだよ」
というその言葉がどうしてもダメで。ああ、結局キャリエールはエリックの「顔」受け入れてはいなかったのだな、と思ったし、それなのに感動お涙ちょうだい場面になるのがどうにもね……。
なので壮さんがキャリエールと決まった時、そうやって納得できない役であるキャリエールを壮さんがどう作っていくのか非常に楽しみだったんですね。そう好きじゃないのに楽しみだったの(あなたどんだけ壮さんの事好きなの)。
さて。一言でいうと、壮さんのキャリエールは愛情の前に義務のひとだったなあと思いました。
最初、自ら率先してエリックを「ファントム」(異質のもの)として扱うキャリエールに違和感があったんですね。いろいろ言ってはいても、この物語はキャリエールのエリックへの愛情が前提で成り立つとわかっているので、それなのにエリックを「異質」として扱っているキャリエールに愛情が見えにくかった。演技と声が落ち着きすぎたようにも思いました。ああ、また壮さんまたお得意の「真意が見えない」腹芸だなぁと、正直思ったんですね。
が、それが変わったのが、回想場面で、子エリックと楽しそうに遊んでいた若キャリをみて「……?」と。あれキャリエールはエリックの「顔」平気なの?と。
そこから遡って思い当たったのが、エリックが生まれた時のベラドーヴァに対して
「何よりもつらかったのは彼女が生まれた子供に至上の美を見いだしていたことだった」とキャリエールが言っていたこと。
そして自分の顔を見てしまったエリックに「少しでも楽になれば」とキャリエールが仮面を渡したということ。
でも、そこでよみがえるのはやっぱりエリックと楽しそうに遊んでいた(エリックの顔を気にしていない、あるいは受け入れている)若キャリで。
やっぱりキャリエール自身は、エリックの顔を認めて受け入れて愛していたように思える。
だから、彼が受け入れられなかったのは、そのエリックの顔に対する「他者の評価」なんじゃないかと思ったのです。自分ではなく他者の。
それは前述した通りベラドーヴァ(他者)が評した「美しい」であり
(キャリエールは「醜い」と思っていた。その上で愛していた)
エリック(他者)が自分自身を評した「海の化け物」であり
(キャリエールは決して「化け物」とは思っていなかった。愛する息子だったから)
そういう自分とは違う他者の評価が受け入れられなかったのではないかと。
そしておそらく、キャリエールが最も恐れて受け入れられなかったのは
「この化け物を受け入れないであろう社会」
(キャリエールが愛するものを受け入れない社会)
という事実なんじゃないかなと。
繰り返しますが、キャリエール自身はエリックの顔を認め受け入れ、そして愛していた。
けれども認め受け入れ愛しているものを「異質」として扱うキャリエール。「異質」なものは疎外という形で社会から遠ざけることができる。そうすることでしかエリックを守ることができなかったんじゃないかな、キャリエールは。
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09月22日(木)
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