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マシンガン★リーク
by 六実
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■「立ち上がれ日本」

 東日本大震災で犠牲になられた方へのご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様へお見舞い申し上げます。




 あの地震から一ヶ月がたちました。地震の後からずっと、何かここに書こう書こうと思いながら、なかなか言葉になりませんでした。
 そしてその間にもいろいろなことがあったり、感じたり……。ついったでは残しているのでそれをさかのぼっては本当にいろいろなことがあったなと思います。


 今、すごく考えているのは、当たり前なんだけれど何もかもはじめての事だということです。
 今まで生きてきて一番の震度でした。客先である北関東某所は停電になってしまって、停電で電気が消えている信号というのも初めて見ました。神社の狛犬が落ちていたり、新幹線の電柱が折れていたり。映像で見る津波の悲惨さも、買占めでまっさらになったスーパーの棚も、計画停電で街が真っ暗になった事も、みんなみんな初めての事。
 余震に怯えたり、被災地の様子を知って何も出来ないことに絶望したり、家にひとりでいるのがしんどくなったり、けれどももっと大変なひともいるのにと思ったり。溢れる情報に混乱したこともありました。
 問題はたくさんあって、意見もあって、何が正しいのかわからなくなってパニックにおちかけたこともありました。それなりにネットリテラシーは持っているつもりだったのに、まんまとネットに踊らされたり……。
 とにかくたくさんのことがはじめての事でした。だからこそ考えなくちゃいけないと思っています。ちゃんと自分で真剣に。だって未曾有の大災害で、こんな事はだれも経験していない。だから答えなんてなくてこれから考えなくちゃいけないことだと思っています。
 今自分に何ができるのか、これからどうなるのか。


 少し話がそれますが、ヅカヲタらしく震災後に見たタカラヅカの話をします。
 元々とっていたロミジュリマイ楽が楽前の土曜夜公演でした。震災後から再開までの紆余曲折はみなさんご存じの通りで。ただその日は計画停電もないことが発表済みでその辺は安心して観ていられました。
 非常事態の中で幕をあげた彼女らに敬意を表する意味で、できるだけ地震の事は重ねないでみたいなと思っていました。だって現実を忘れられる夢の三時間じゃないですか。でも彼女らの気迫にただただ圧倒され、もうぼろぼろに泣いてしまいました。震災からの不安を諭されるようであり、それでもタカラヅカが輝いていることがうれしくて。あれを見た瞬間にタカラヅカはこの後も上演を続けなくちゃだめだ、と思いました。本当に大きな力をもらいました。
 フィナーレでキムラさんが銀橋に出るあたりで、大きな余震がありました。客席はかなりざわついて、私は2階だったので余計に揺れを感じました。
 おそらくは舞台にいるキムラさんも揺れは感じていたはず。そして大階段上にはエトワールのマイサキをはじめ生徒がスタンバっていたはずです。きっとすごく怖かったと思う。けれどもショウマストゴーオン、幕を下ろすな。キムラさんがそんな恐怖もかんじさせないほどのありったけの笑顔で銀橋を駆け抜けて、パレードはいつも通り始まって。
 すごかったのは客席も。ふつうパレードの拍手は、階段降りの間は出演者のお辞儀にあわせて拍手、トップさんが銀橋に出てくるところから手拍子だと思うのですが、この日は最初から手拍子。すごい手拍子でした。誰かがいったのですがまるでこの揺れを止めてやる、とでもいわんとするような。あの舞台と客席の一体感。本当に忘れられない経験でした。

 最後にナガさんの挨拶で「私たちにできることは歌い、踊り、芝居すること。だからそれ精一杯かけることで、被災地に希望を届けたい」的な事を。そして「(上演に)ご理解いただければと思います」。そこにきっと多くの葛藤があったとは思うのですが、それでも「私たちにできることを」と。


 それは私たちも同じだなぁと思うのです。

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04月11日(月)
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