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マシンガン★リーク
by 六実
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■つめこみ
 紫君、お誕生日おめでとう。
 というわけでロングコントー(ショートじゃないのか)


[おおまみらんくんとあやかゆかりくんシリーズ](いつから?)


 十一月二十二日。今日は僕の誕生日。


 朝一番で僕のところにやってきた大真がこう言った。
「ゆかり!誕生日おめでとう!ところで今日は『いいふうふの日』だ!だから今日一日僕がゆかりの奥さんになってやるからな!」
 ……は?
「とゆうわけでー、今日いちにち僕とゆかりは夫婦なんでぇー、皆よろしくー」
 僕がツッコむ間もなく、大真は高らかにクラスの皆に宣言していた。そして記者会見まではじまった。
「で、二人のなれそめは?」
「えっとお、一年生の時に同じクラスでー」
「プロポーズの言葉はー?」
「意外にゆかりって、硬派でしょ?だから『黙って俺についてこい』ってー」
「婚約指輪は?」
「お小遣い3ヶ月分のジュエルリングでぇす!」
「お子さん何人?」
「えー、それはゆかり次第って言うか、もーやだはずかしー、つうかどんだけー!」
 すっかりカマ口調がハマった大真に皆が爆笑……ちょっと待て!どうして誰も大真を止めない?つうか悪ノリしすぎじゃないか?皆も口から聞く「おめでとう」、でもそれって僕の誕生日にじゃなくて、大真と僕の結婚……うわわわわわ考えるだけでもトリハダもんだ。とはいえ結局大真はクラスきってのお調子者。それに皆も慣れている、そしてこれはもう少し大人になってから気付くことなんだけれど、皆「自分のことじゃないから無責任に面白がっている」んだ……なんてトモダチがいのないクラスなんだ、今年のクラス目標は「みんななかよく」だったじゃないか……っ!でも僕以外は「みんななかよく」盛り上がっている……僕をネタにして。
「おい、大真」
 クラス中の祝福を受けて、更に調子に乗って机の上にまで乗っている大真を引きずり降ろそうとしたとき、チャイムが鳴ってしまった。そして大真は当然のように僕の隣のコと席を変わってもらって
「夫婦たるもの、やめるときもすこやかなるときも授業中も一緒っていうもんね」
 言わない!しかし大真は僕の反応を全く気にも留めずに、くねっとしなをつくってウィンクばちこんしてきた。うわわわわ気持ち悪い!机ごと廊下に引きずりだしてやりたかったけれど、そこで先生が来てしまった。
「きりーつ、れい、着席ー」
 ……まあ授業が始まればこんな悪ノリはしなくなるだろう、今日一日と言っても大真のネタがそんなに持つわけがないしきっとすぐに飽きる。
 と思った僕は甘かった。
 先生が出席を取っている。
「…、大真ー……大真?って大真そこにいるじゃないか?返事は?なんだ勝手に席替えか?」
「先生。僕、きょう一日ゆかりの奥さんなんで、"あやかみらん"じゃないと返事しません!」
 ……先生!ここに馬鹿がいます!
「そうか、でもな、大真。今は夫婦別姓っていうのもあるんだぞ?」
「ふーふべっせい?」
「今は女のひとも社会で働くからね、だから結婚して苗字が変わると色々不都合があるし」
「えー、でもなんかつまんないです。だって『俺の苗字になってくれ』ってプロポーズするのってカッコいいし」
「大真は古風だなぁ。でも先生は夫婦別姓もカッコいいと思うぞ?苗字が一緒、っていう形がなくても繋がることができる夫婦の絆は更に強い、ってね」
「……ふーふべっせい……カッコいいかも!」
「ちなみに先生の奥さんも、よそ学校の先生やっているけれど、夫婦別姓だ」
「あ、先生それノロケですかー?よし、じゃあウチも夫婦別姓で、より強い夫婦のきずなをつくりましょうね、アナタ」
「はいそれじゃ改めて出席なー、大真ー」
「はい!今日も元気です!」
 先生!話題がずれています!つうか先生?それはそれで素晴らしい話なんですが、どーして大真を止めてくれないんですか?叱ってくれないんですか?そしてクラスの誰もがどーしてツッコみを入れてくれないんだ!
 毒されている、みんな大真に毒されている、丸め込まれている。そして僕がおもいっきり面白がられている。
 僕は大きくため息をついた。ひどい誕生日になりそうだ。



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11月22日(木)
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