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マシンガン★リーク
by 六実
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■にゃーとリアルに鳴いている
ココ行きたい。あとココを読むのに夢中になっています。
隙があったので萌えておきます。
[フェットアンペリアルSSそのよん](ええ?)
「男の子は、父親の背中を見て育つというけれど、お前はウィリアムの背中を見て育ってしまったんだなぁ」
最後に父はそう言って、僕が陸軍に入るのをしぶしぶ許可してくれた。父は僕を自分と同じ外交官にしたかったようだけれど、幼い頃からあこがれていたウィリアムおじさんと同じ仕事をする男になる、は僕の幼い頃からの夢だった。子供が夢をかなえたのだから、ちょっとは喜んでくれてもいいんじゃないかと僕はすこしむっとした。むっとした僕に父は、更に大きなため息をついて、部屋から出ていった。
「あれでも、心配しているのよ」
隣で何も言わずに聞いていた母がそう言った。しかしうちの父は相変わらず子供みたいな人だ。そんなあからさまに拗ねなくたって、って子供に言われてどうするんだ。僕は、心底、父の背中を見て育たなくてよかったと思った。
「もう、ウィリアムおじさんと呼ばないようにね、それから……うん、そうね、なんでもないわ」
何かを言い淀んだ母に、僕はそんなことわかっているよとやはりすこしむっとしてかえそうとした。しかし母は、何故かひどく寂しげな、いや悲しげな顔をして僕を見たから
「シンシア!僕のステッキどこ!」
階下から父の声がした。明らかに機嫌の悪い声。そうやって母を困らせる父はやはり子供だと思った。母は僕に軽くキスをすると、そのまま父の元へと降りていった。
かくして僕はウィリアムおじさん、いやワルシンガム閣下付きの士官となった。ウィリアムおじさんことワルシンガム閣下は僕の父の古い友人で、僕の家とは家族ぐるみのつきあいで。もっともワルシンガム閣下は独り身で、それもあって閣下は僕の事を実の息子のようにかわいがってくれた。そう、だから僕が軍人になったのも至極当然のこと。
仕事はつらい事も多かったけれど、楽しかった。閣下はとても厳しかったけれど、僕の知らないところで僕をフォローしてくれていた。やっと軍人稼業が板についた頃、僕はひとつの決断を迫られた。
「エージェント?」
僕はその時初めて閣下の本当の仕事をしった。そして父の仕事の影にそれがあることをしった。僕は迷わずそれに従った。
最初の任務を終えたときに、僕は初めてどうして父があんなにまで反対をしたかをしった。そしてどうして母があんな顔をしたのかをしった。
仕事から任務へ、それはとても厳しいものだったけれど、閣下に従いたいと思う気持ちが強く、またやりがいもあるものだった。何より「エージェント」という立場からしった「ニール・ハマンド」という人が僕の父であることが、何よりも誇らしかったのだ。無論、これは父には言わないでおく。
「エージェント」になって、任務について、僕は初めて父を尊敬したのだ。
ただ僕にはひとつだけ、その父についてどうしても気になることがある。
父は、口癖のように閣下に言っていた。「そろそろ結婚したらどうだ」と。けれども僕は幼い頃から、いや幼い僕ですら、閣下には「忘れられない人」がいるのだと知っていた。その人の名は「エンマ・クラッチ」。どういう人かはよく知らない。ただ閣下がおそらくは一生独身を通そうと決意したほどの、ひと。そんなことは子供の僕ですら大人の会話の端々から察しているのに、父はことあるごとに「結婚はいいぞ、君もどうだ」と。失礼というより、余りにもデリカシーがないように思えた。閣下はいつもそれを笑って聞き流していたけれど、僕はそれを聞き流せなかった。長じるにつれてそんな父に違和感を、いっそ嫌悪感すら覚えていた。父が口を酸っぱくして言う、英国紳士の名にふさわしくないではないか、と。
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07月12日(水)
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