ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■心は広いが了見が狭い
 三連休の一日目は仕事で潰れ、二日目の昨日は文字通り病に伏せっておりました(突如襲われた腹下しと吐き気と猛烈な悪寒と高熱)(これは一回吐いた方がいいとかとりあえず市販薬飲んだ方がいいとか寒いから毛布増やした方がいいとか頭では判断できるのに全くベッドから出られなかった)(しんどかったよう)。で、三日目の今日、どうにか復調させて花組さん観てきました。
 以下、病み上がりの人の「この人どうかしているんじゃないの?」「つうかこの人どうにかして」テキストです。病み上がり、病み上がり(……予防線?言い訳?)(どっちもだ)。


[落陽初見メモ]

 ようやく花組さん初見。このようやくは東宝初日からではなく、ムラ初日を起点にしたようやく、です(そんなに待っていたのか)(うん)。

 脚本がアレな部分は、風の噂に聞いていた通りでしたな……。どうして最後の最後で「おとぎばなし」(ヴィットリオがドンブイユ公爵の息子だったという話以降を、私はあえてそう称します)にしちゃうのかなぁと思いました。いや、その「おとぎばなし」は宝塚らしくて非常にいいと思うのですが、そこに至るまでの「イタリア統一を舞台にした身分違いの愛」の物語(これもこれで宝塚らしくていい)とは乖離しちゃっているんですよね。なんというか、ふたつの作品の前半後半を切り貼りしたみたいな?それぐらい色合いが違ってしまっていた気がします。
(以下うわごと)

 が、この物語の実の主人公は曾孫ヴィットリオ(ユミコヴィットリオ、ヴィットリオ・F)なんじゃないかと思ったら、割と物語のアレな部分がすとん、と私の中に落ちてしまったんですね。
 ヴィットリオ・Fが恋人のジュディッタを自分の家に連れてきた一番の目的は、御婆様にジュディッタを紹介することでも、アメリカ亡命の金を工面することでもなく(もちろんそれも目的だけど)、「ヴィットリオとアンリエッタ」の物語を話して聞かせるためだと思ったんです。日毎夜毎に、「ヴィットリオとアンリエッタ」の話をするヴィットリオ・F、自分たちの運命を重ねながら。
 「ヴィットリオとアンリエッタ」の物語は、本当は二人が別れてしまったところで終わるはずだった。そしてヴィットリオ・Fはだからこそ僕らは幸せになろう、「ヴィットリオとアンリエッタ」の物語とは違う物語を紡ぎだそうと、そう締めくくるつもりだった。悲劇は繰り返してはならない、同じ過ちを繰り返しつづける人の歴史の中で、僕たちだけは過ちを繰り返してはならないと。けれども同じように「ヴィットリオとアンリエッタ」の物語を自分に重ねて聞いていたジュディッタは聞く「それで、その二人はどうなったの?」、この物語に続きはない、いやあるかもしれないがそれは物語とは呼べないものかもしれない。それでもジュディッタは聞く「それで、その二人はどうなったの?」……ひたむきにかなしみを浮かべた瞳で、その瞳が懸命に「ヴィットリオとアンリエッタ」の物語の結末が幸せであって欲しいと願っている、そして自分達は幸せになれないかもしれないけれど、「ヴィットリオとアンリエッタ」は幸せであって欲しいと願っている。そんな恋人の悲しい請願に、ヴィットリオ・Fは「ヴィットリオとアンリエッタ」の続きを語る。
 作り話のハッピーエンド。おとぎばなしじみたハッピーエンド。恋人につく小さな嘘。ジュディッタは気づいてしまうだろうか?僕のこのつたないおとぎばなしが嘘だということを。けれども僕は間違っていないと思う、おとぎばなしにすぎなくても、その物語の続きは、「ヴィットリオとアンリエッタ」を、そしてかわいそうなフェリーチタの祈りを救う物語のはずだから……。幸せな結末に、ジュディッタはほっとしたように息をついた。そして、言う。「もし二人が幸せにならなかったなら、私たちも幸せになれないと思ったの。でも二人が幸せになれたから、私たちも幸せになれるわね」……涙を浮かべた目で笑うジュディッタ。ああ、そうか彼女は気づいているんだ、僕のついた嘘に。けれども彼女はそう言った。そうしてそれまでのためらいや迷いを全て捨ててくれた。時代と僕への愛の為に幸せを捨てようとしていた彼女が、「幸せになれる」そう言って彼女は決心をしてくれた……。


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01月09日(月)
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