ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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※20060616のマシンガン連動です(2006/6/16記)
2004年の往復伝書鳩(公開質問状で)
>真飛氏と壮氏が好きなんですけど、
>共通点がなさそうな二人を無理やり絡ませるとしたら、どんなものがいいですか?
と聞かれて
>リアル大学生で寮の同室の二人。奨学生の真飛さん(苦労人)(父親はアル中で死亡母親は病気で下に弟妹がいる)(あるいは天涯孤独の身)。普通のおうちで普通に幸せに育ってきた壮君(裏設定で実は不治の病を抱えていたりする)(それを真飛さんは知らない)。たまたま寮の同室になっただけだけれど、そこはかとなく惹かれあう。寮物語と言っても801的なモノは一切ない、いっそ匂い立つほどの男所帯なイメージで(大笑)。アイツの中にある飢餓感、オレの中にある飢餓感、誰にも知られたくないと思っていたであろうアイツの飢餓感をオレは知っていて、誰にも知られたくなかったオレの飢餓感をアイツは知っている。けれどもそれに俺たちはどこか安心するのだ。
親友でもない、ライバルでもない。ただ、たまたま偶然一緒に最後のモラトリアムをすごす「アイツ」と「オレ」
(むっさん、SSするなら他所で)。
と答えて
2005年夏のメルマガでこう漏らしました。
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『モラトリアム』
一月の中旬、冬の最中とはいえ、さすがに信州の山奥より東京は暖かい。久しぶりの人ごみに紛れ、久しぶりの匂いを嗅ぎながら寮へと戻った。
今時、大学寮だなんて流行らないのはどこでも同じだろう。俺の大学でも辛うじて残る寮は、この古びた木造二階建ての建物だ。今時流行らぬ二人部屋、風呂トイレはもちろん共同、まかないは寮生が減った時点で採算が合わなくなり廃止された。それでも俺のように経済的な理由からここを頼りにしているものはまだいて、殆ど空き室状態のこの寮は存続している。経済的な理由、俺のように奨学金を受けているものはその最たるもので、そしてそのまったくの対極には「好き好んで」この寮に住んでいる奴もいる。俺の同室は、まさにその最たるものだ。
部屋のドアを空ける。部屋の両サイドにはそれぞれのベッド、その奥に机と箪笥……だなんて言っている場合じゃない。
「一帆!」
目の前の絨毯の上に、ルームメイトがうつ伏せに倒れていた。
「おい、一帆!」
駆け寄ろうとしたら、ぐるんとそいつは転がって、そして俺と目を合わせて、「おかえり〜」
驚いたー?冗談だよー?と言わんばかりのその間の抜けた声に、俺は一帆の顔を蹴った。
「顔は打たないで!アタシ、女優なんだから」
言ってろバカ。
それにしても……本当に単なる冗談なんだろうか?荷物を置いてちらりと様子を伺うと、一帆はまだ天井を見たまま仰向けになっている。その横顔は久しぶりのせいか、どこか知らないものに見えた。
「やばい」
一帆の声がした。
「え?」
「起き上がる気力がない……俺はもうおしまいだー」
バカだ、やっぱりバカだ。
俺がもう一度蹴ってやろうと近づくと、一帆はひらりと起き上がった。そして俺に両手を差し出す。
「なんだよ」
「お土産」
年末年始の冬休み、俺は長野のスキー場に泊り込みのアルバイトに行っていたのだ。学費は奨学金でまかなえるが、生活費は自分で稼ぐしかない。家族からの仕送りがあるほど恵まれてはいないということだ。この冬のアルバイトは三食付きの割の良いアルバイトだった。
学業をおろそかにするすれすれで、俺は働かなくてはならない。
「ほら」
一帆に袋を差し出す。何?と聞くから
「野沢菜漬け」
「うわ、色気ねぇ。もっと洒落たもの買ってこれないのかよ」
「バカ言え、これで後は米さえ炊けば飯になる」
「へいへい、実用的な事ですなぁ」
文句を言う一帆を無視して、俺は部屋の隅の冷蔵庫を開けた。やはり、案の定。冷蔵庫の中味は行く前と同じにからっぽだ。物が入った形跡も、出ていった形跡もない。
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08月07日(土)
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