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マシンガン★リーク
by 六実
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■つめこみ
「うん、だからさ。ゆかりは絶対にいい奥さんもらって、絶対にしあわせになると思うんだ」
「……絶対?」
「うん、いいふうふの日に生まれたんだもの。きっといつかいいふうふになれるかわいい奥さんをもらえるんだよ」
何だその妙な自信は。
でもそう言われると、そんな気もしてきた、いやそうでもないかもしれない。
だってそれは僕らにとってまだまだ先の未来の話。
「あ、でももしも、ゆかりがどうしてもいいふうふになれそうなコを見つけられなかったら、その時は僕に相談してよね。その時はまた僕が「奥さん」になってあげるから」
……は?
「あ、でも手術代は半分出してね?なんかとうなんあじあに行くと、男が女になれるんだってー」
なんだその具体的なプランは!僕は速攻答えた。
「いやだ」
「えー?結構かわいくなる自信あるんだけどなー」
「絶対にやだ」
「それに年上の女房は金の草鞋をはいてでも探せって、言うじゃん?一応、僕一ヶ月だけ「おねえさん」だし!」
「死んでもやだ」
「いい奥さんになると思うんだ、あ、でもやっぱり僕は夫婦は同じ苗字がいいな。でもうちはひとりっこだから、うちに養子に入ってね」
「だからやだやだやだやだ絶対やだかんな!」
「もうっ、アナタったら照れちゃって」
カマでツマモード再び。今度こそ大真をひっぱたこうと思ったら、
「……」
寒さに凍えた僕のほっぺたに何かやわらかいあったかいものが触れた。え?と思う間もなく大真は駆け出して、青が点灯していた横断歩道を渡りきった。僕が追いかけようとすると、信号は赤になってしまって、それで大真は道路の向こうから
「ゆかりー、もう一度。お誕生日おめでとー!」
そして
「それから、愛してるわー!おやすみぃー!」
信号が赤で僕が追いかけられないのを知っていてそう言い放つ。そして笑いながら走って家にむかっていった。
僕は自分のほっぺたに触った……思わず、言った。
「ど、どんだけぇー!」
けれども不思議とどこか暖かかった。この道の向こうには暗闇があるけれど、そこに大真が言う「いいふうふ」な未来があるのかもしれない。そんな先の事なんて考えたことも無いけれど、「絶対にしあわせになると思うんだ」あんなに大真が力強く断言するから、そんな明るい未来があるのかもしれない。
けれども僕たちはまだまだ子供で、その未来の入り口にすら立っていない。
僕たちが大人になった時、僕と大真はどうなっているんだろう。まだ一緒にいるんだろうか、遠くに離れてしまっているんだろうか、もちろん「いいふうふ」では絶対にありえないけれど、きっと僕も大真もそれぞれに「いいふうふ」になっているのかもしれない、いないかもしれない。いつもと違う誕生日、でもいつもと同じ誕生日。そしていつかの誕生日は今と違うかもしれない、同じかもしれない。それにわくわくするのは、おかしいだろうか?
なんとなく弾む気持ちになって、吐く息が白い中、僕は家までの道を走って帰っていった。
++++++++++
ええっと、実際には小学五年生ぐらい?(じぶんでもよく)。特に漢字表記をひらがなにしていないのは、私がめんどくさかったからです……つうかむっさん!大真くん書きたかっただけだろー!(うんまあそうとも言う)
ちなみにゆかり君には年の離れたお姉さんがいて、今大学生で一人ぐらしをしている、っていう設定です(本文中に書け)。あと番外編として、そんな「いいふうふのひ」を目の当たりにした小学四年生と三年生と二年生が「自分の将来の夫がホモでも許せるか、いやむしろ萌えととらえるべきか」会議を非常階段の裏でおこなっています(笑)。
ちなみに先生はしぃちゃんです。昼休みも一緒になって遊んでくれる先生です。
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11月22日(木)
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